| ◆クーリング・オフ制度 クーリング・オフ制度の趣旨
民法による契約の原則では、いったん契約が成立すれば契約は拘束力をもち、契約当事者はお互いにこれを守らなければなりません。一方的に契約を解消することは原則として認められません。
しかし、訪問販売などの場合には、消費者と事業者という対等性を欠くもの同士の契約である上に、弱者である消費者にとって予告もなく、いきなり不意打ち的であるという不利な取引となっています。その結果、消費者被害が非常に起こりやすいのが現状です。
そこで、消費者被害が多発し社会問題となった取引に対して、客観的に契約内容を明確に確認することができるように契約書面等の交付がされて、消費者が契約の内容を確認できる環境になった後に一定期間に限り、契約の締結について冷静に熟慮できる機会を確保した制度を設けました。
したがって、クーリング・オフにより申込みを撤回したり契約を解除する場合には、理由は必要ありません。消費者が、その契約は自分にとって不必要だったと判断したら、無条件に契約の解除ができるのです。
クーリング・オフ期間
クーリング・オフ期間は、原則として「契約の内容を明らかにした書面の交付の日」を1日目として計算します。この場合の書面は、法律で記載すべきことが義務付けられた事項がすべて正確に記載されていることが必要です。したがって、書面の交付がされていない場合や、記載事項に不備や虚偽がある場合にはクーリング・オフ期間は起算されません。よって、このような場合にはクーリング・オフ期間が経過していても、原則としてクーリング・オフをすることができます。 訪問販売 電話勧誘販売 8日間 特定継続的役務提供 連鎖販売取引 業務提供誘引販売取引 20日間
期間内でもクーリング・オフができない場合
訪問販売と電話勧誘販売の場合にはクーリング・オフ期間内であってもクーリング・オフできない場合があります。
1つは、契約の際に代金を全額支払って商品の引き渡しも終了してしまう現金取引の場合で、販売価格が3000円未満の取引の場合にはクーリング・オフはできないと定められています。
2つめは、訪問販売と電話勧誘販売については、特定商取引法の政令で消耗品として指定された7品目については、契約後商品の引き渡しを受けた後に消費者が使用した場合であり、交付された書面に「当該商品を使用するとクーリング・オフ期間内であってもクーリング・オフができなくなる」旨の記載がある場合には、使用済みの商品についてはクーリング・オフができないと定められています。
しかし、未使用の他の商品についてはクーリング・オフ期間であればクーリング・オフができるので、あきらめずにクーリング・オフでの契約解除をしましょう。
クーリング・オフの方法
クーリング・オフは書面で行うこととされています。
ただし、書面によらず口頭でクーリング・オフをしたとしても、相手方が認めていたり、客観的にクーリング・オフが行われたことが明白である場合には有効とされています(福岡高等裁判所平成6年8月31日判決)。
しかし、後々のトラブルを考えて、内容証明郵便を配達記録付きで送付するのが最も確実な方法でしょう。
クーリング・オフの効果
クーリング・オフには事業者の承諾は必要ありません。 業者は、その契約に関して受領した一切の金銭を速やかに返還しなければなりません。引き渡し済みの商品がある場合には、業者に引き取りの義務があります。
クーリング・オフ妨害の場合
消費者がクーリング・オフをしようとすると、「この契約はクーリング・オフできない」と嘘をついて拒絶したり、脅かして契約の継続をせまるケースが少なくありません。そこで、2004年の特定商取引法の改正の際に、業者に同法でクーリング・オフ妨害として禁止されている行為があったためにクーリング・オフの行使が妨害された場合には、消費者はクーリング・オフ期間が経過していてもクーリング・オフができるものとしました(特商9条)。
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