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遺言

■遺言書があるといったい何が違うのか?

 
生前のうちに遺言書を残しておけば、他界後のことをある程度決めておけます。
他界後は原則として遺言書の内容のとおりに効力が発生しますから、遺言書ですべての財産について明記してあれば、別途遺産分割協議をする必要がありません。
もし遺言書がなければ相続人全員の合意によって遺産分割協議が成立するまで、相続財産の名義変更や処分をすることは原則としてできませんが、有効な遺言書を遺せばそれらの合意ができなくても相続手続きができてしまうのです。


■遺言書があったほうがいいとき

 
遺言書があると、故人が生前に希望したとおりに財産を分配させることができますので、相続人が複数いて相続時に争いが予想されるときは、あらかじめ遺言書を作成しておいたほうがよいでしょう。
 
多くの財産がある時に、各相続人に財産の割り振り方法を決めておくことも可能ですし、主な財産が自宅しかない場合には自宅を分けるのも困難なので、あらかじめその自宅を誰に相続して欲しいかを指定することも可能です。
そして、遺言書の大きな特徴は、相続人以外の人に財産を遺すことができる、ということです。これは遺言書がないとできないことです。
 
例えば、内縁関係の人には現在の法律では一切相続権がありません。いくら何十年同居して、夫婦同然であっても相続権はまったくないのです。そのような場合、遺言書で内縁関係の人に遺贈すればよいのです。遺贈とは、遺言による贈与という意味です。
 
 

■自筆の遺言書には注意が必要です

 
もし、封がされている自筆の遺言書を発見した時は、開封しないように注意しましょう。自筆の遺言書は勝手に開封をすることはできず、家庭裁判所で遺言書の検認手続という手続きをしなければなりません。家庭裁判所内で検認手続きの席において、開封されるのです。もし、検認手続を受けずに勝手に開封をしてしまいますと、5万円以下の過料処分をされることもあります。たとえ、相続人全員の立ち会いのもとに開封をしても同様です。
 
ただし、この検認手続きは、自筆の遺言書の改ざんや紛失を防ぐために行われる手続きですので、もし検認手続を申し立てずに開封をしてしまったとしても、遺言書の効力自体には変化はありません。
 
自筆証書のほかに、秘密証書遺言の場合にも検認手続きは不要です。ただし、公正証書遺言の場合には検認手続きは不要です。
 
では、「初めから封がされていない」自筆の遺言書はどうでしょうか?
封がされていないなくとも、遺言書の効力には影響はありません。そしてこの場合でも、遺言書の検認手続きは必要です。
 
後日、不動産や預貯金、自動車やその他の相続財産の相続手続きや名義変更をする時には、遺言書に加えて検認手続き済みの証明書が必要になります。これがなければ遺言書を使用しての相続手続きはできませんので、自筆の遺言書がある場合には検認手続きは必ず必要です。なお、複数の自筆の遺言書が発見された場合には、そのすべての遺言書について検認手続きをしなければなりません。
 
 

自筆証書遺言書のメリット・デメリット

 
費用もかからずに一番簡単に自分だけで作成できます。
作成方法は、遺言者が全文、日付・氏名を自筆で書いて、押印します。押印は認印でかまいません。
 
全部自筆で書かなくてはなりませんので、パソコンやワープロで作成したものは無効となりますので注意して下さい。代筆も不可です。ただし、握力が弱っていて自分一人では筆が持てない場合には、他人に手を支えられて補助のもとに書いた場合は、有効とされています。
 
また、日付も正確に特定できる必要があり、「平成20年4月吉日」では無効です。ただし、「75歳の誕生日」というように日付が特定できる場合には一応有効とされています。署名は、本名を記入しますが、広く世間で知られているのであれば、芸名でも有効です。押印の代わりに拇印でも一応有効ですが、後で争いにならぬよう押印しましょう。
 
自筆証書遺言では有効・無効の判断が微妙なケースがあり、争われるケースも多くありますし、せっかく有効な遺言書を作っても、遺言状が紛失してしまう可能性もあります。
 
メリット
・お手軽でもっとも簡単に作成できる
・費用がかからない
・秘密裏に作成できる
 
デメリット
・無効になる可能性あり
・改ざんや隠匿される可能性あり
・他界後に家庭裁判所での検認手続きが必要(すぐに相続できない)
 
 

公正証書遺言のメリット・デメリット

 
公正証書とは、公証人が作成した文書のことです。公証人とは、主に裁判官や検察官の退職者等、法律を専門とする地方法務局嘱託の公務員で、各地の公証役場で執務しています。裁判を経ずとも公正証書には強い執行力がありますので、遺言のみならず消費貸借契約書や離婚協議書なども公正証書で作る場合があります。
 
遺言を公正証書で作成すると、その確実性ゆえに自筆証書遺言で必要な検認手続きも不要です。そのため、他界後はすぐに遺言の内容を実行することができます。さらに、公正証書の原本は公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの心配もありません。
 
遺言をされるのでしたら、文句なく公正証書での遺言をお薦めいたします。
ただ、証人2名が必要です。
 
証人の要件は、成年者であること、そして推定相続人やその配偶者ならびに直系血族などの利害関係人は証人になれません。公証役場でも証人を用意してくれますが、費用がかかります(たいてい1万円以上です)。
 
公証役場で遺言者が遺言の趣旨を口述し、公証人がこの口述を筆記します。筆記したら、公証人が遺言者と証人に読み聞かせるか閲覧させて、遺言者と証人が署名・押印し、公証人も署名・押印して完成します。
 
通常は、あらかじめ遺言書の案を公証役場で打ち合わせのうえ作成しておいて、遺言書作成の当日にその内容を読み合わせして、問題がなければ遺言者、証人、公証人が署名押印をします。
 
遺言者が入院中など公証役場に赴くことができない場合には、公証人が出張もしてくれますが、その場合には日当や交通費などが必要になり、公証役場へ支払う手数料も通常の1・5倍くらいになることが多いです。
 
メリット
紛失や改ざんの心配がない
・法律専門家たる公証人の手を経ているので無効になる可能性は低い
・他界後の検認手続きが不要
 
デメリット
・利害関係のない証人2名が必要
・費用がそれなりにかかる
・証人と公証人には内容が知られる
 
 

■秘密証書遺言のメリット・デメリット

 
まずご自分で遺言書本文を作成します。本文は自筆でなくてもパソコンや代筆でも結構です。日付は不要です。ただし、署名・押印は必ず必要となります。押印は認印でも問題ありません。
 
本文が完成しましたら、それを封筒に入れて、本文に用いたのと同じ印章で封印します。
 
この封入・封印は必ず遺言者自身が行わなければなりません。そして、次にこれを持って証人2人と公証役場に出向き、公証人に提出して自分の遺言書であることを述べます。そうすると公証人が証書の提出された日付と遺言者の申述を封書に記載してくれるので、遺言者・証人・公証人の全員が封書に署名・押印して秘密証書遺言が完成となります。
 
つまり、証人と公証人は封印された遺言書しか見ませんので、遺言書の内容を証人にも公証人にも秘密にできるわけです。ただし、自筆証書遺言と同じく、遺言者の死後すぐには開封できず、家庭裁判所に検認の申し立てをしなければなりません。
 
メリット
・内容が完全に秘密
・ワープロ、パソコン作成や代筆作成が可能
 
デメリット
・利害関係のない証人2名が必要
・公証役場での費用がそれなりにかかる
・他界後に家庭裁判所にて検認手続きが必要
 
 
 
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