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すずめの近況
◎ 草花や動物、それと小旅行が好きです。
そうした折々のことを記しますので、よろしかったらお読みになってください。

◎ また、「ROOM」の、「相続や遺言の知識あれこれ」には、
相続や遺言に関することを書き込んでゆきますので、
・・・あまりお役には立たないと思いますが、よろしかったら
お読みになってください。
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文藝春秋 季刊秋号 「がんを生きる」で、 「近藤先生 本当に抗がん剤をやめていいのですか?」 を、読みました。      (2011/08/28)
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がばいばあちゃん めざせ甲子園   (2009/03/29)
がんばれ!がんばれ!ハヤブサ  (2009/02/10)
文藝春秋 季刊秋号 「がんを生きる」で、 「近藤先生 本当に抗がん剤をやめていいのですか?」 を、読みました。     No.16 - 2011/08/28
 近藤先生の本は、いままで読んだことがありませんでしたが、

その書かれている内容から、私のようなど素人でも、信頼するに値する

先生だと感じました。

 簡単にご紹介させていただきます。興味を持たれた方は、ぜひ購入し

てお読みになってみてください。

* 出版界の事情には疎いですが、売り切れてしまうことがあるようですので、お早めに・・・。





T.本当に効かないのか



 @大腸がんが肝臓に転移した患者ですが、主治医から「昔に比べて今

の抗がん剤治療は余命が延びている」と説明を受け、実際に数値も示さ

れました。それでも効かないというのですか。


 それは数字のマジックないしトリックです。大腸がん肝転移の場合、

昔も今も、臨床試験では抗がん剤に延命効果は認められていないので

す。

 ただ近年、CTなどの検査技術が進んだことで、以前よりも小さな転

移病巣が見つかるようになった。昔よりも早く見つかることで、転移が

ん発見から死亡までの時間全体が延び、それで、一見余命が延びたよう

に見えるだけです。・・・




 A肝臓がんの患者ですが、抗がん剤を投与されてから明らかに腫瘍は

縮小しました。これは効いているのではありませんか。


 腫瘍が小さくなったら嬉しくなる、その気持ちはよく分かります。

ただ抗がん剤の本質は細胞毒なので、腫瘍は小さくなった、寿命も縮ん

だ、となりかねない。あなたの寿命も、はたして抗がん剤で延びている

のかどうか不明です。

 実際、肝臓がんを初め、肺がん、胃がん等の固形がん(腫瘤をつくる

癌)で行われた、無数に近い臨床試験では、腫瘤の縮小が認められても

延命効果は認められていないのです。・・・


 
 B乳がん宣告以来、すっかり食欲をなくしていた母が、抗がん剤治療

を始めてから元気になり、食欲も出てきました。これは抗がん剤が効い

たからではないでしょうか。


 食欲をなくしたのは心理的な影響が大きいのでしょう。

抗がん剤の本質は(強力な)細胞毒なので、通常、食欲は減退します。

食欲が回復したという本件では、おそらく、副作用止めの目的でステロ

イド(副腎皮質ホルモン)が、抗がん剤と一緒に処方されているのでし

ょう。

 ステロイドは、体調を一見良好な状態に引き上げることができるので

す。しかしステロイドは、種々の重大な副作用のある(強力かつ危険)

な薬で、一見体調が良くなった水面下では、体はボロボロになっていき

ます。他方、一見体調が良くなっているので、患者は気をよくして抗が

ん剤治療を長く続けることにもなり、通常の場合よりも毒性が余計に蓄

積します。

 これらの結果、抗がん剤だけの場合よりも、縮命効果は大きくなりま

す。




 C抗がん剤はすべてのケースで効果がないのですか。


 肺がん、胃がん等の固形がんに抗がん剤が使われる場合は、大きく分

けて三つあります。

 一つは臓器転移を叩くためで、二つ目は、原発病巣を手術や放射線で

治療した後に、再発・転移の予防目的で行われる「術後補助療法」で

す。両者とも、どの固形がんでも、延命効果はありません(拙著「抗が

ん剤は効かない」参照。以下「近著」)。

 三つ目の使い方として、放射線治療と併用する「化学放射線療法」が

あります。抗がん剤を併用することにより、放射線の効果を高めること

を目的とし、喉頭がんや子宮頸がん等、さまざまながんで行われていま

す。
 
 この場合には、抗がん剤に一定の意味があると考えています。ただ

し、臓器移転を叩くことはできず、抗がん剤の毒性が問題になること

は、抗がん剤を単独で用いる場合と同様です。




 D父が大腸がんで、「余命三ヶ月」と診断されました。見ている限

り、そんなに早く亡くなるとは思えないのですが、どうやって診断して

いるのですか。


 大腸がんで余命を言われたとなると、肝転移があるのでしょう。

ただ、肝転移の個数や大きさは、患者によってまちまちです。また、

転移状況の同じ患者を集めても、病巣の増大するスピードは患者ごとに

異なっているので、余命を正確に判断するためには、病巣の増大スピー

ドを調べることが必須です。

 肝転移の場合には、実際の余命判断は、以下のようにします。

前提として、患者の命が危なくなるのは、肝臓体積の八割程度を移転病

巣が占めるようになった時です。

 そこで、少なくとも数か月の間隔を開けて、超音波検査やCTで病巣

の大きさ(の推移)を計測し、増大スピードを計算します。

次にそれをもとに、肝臓の八割を転移が占めるまでの期間を推測するわ

けです。

 こうした診断作業をせずに下された余命判断は、当てになりません。

私の診察室を訪れる大腸がん転移患者でも、余命三ヶ月とか六か月と

(前医)に言われたケースが多いのですが、自力で歩ける方では、余命

一年以内と判断できる人はほぼ皆無でした。




E三年前に胃がんが見つかり、「余命三か月」と診断され、抗がん剤

治療をした結果、今も生きています。延命効果があったのではないでし

うか。


 前項のような診断作業を行って、仮に余命三か月と判断した場合にも

実際の生存期間は、一か月であったり、六か月だったりとまちまちにな

り、幅があります。

 これに対し、余命一ヶ月と判断した場合には、幅はもっと狭くなり、

大多数の方は三か月以内に亡くなられます。ただこれは私が判断した場

合で、他の医者たちの余命判断がどの程度正確であるかは不明です。

 二点指摘しておきましょう。

 胃がんに限らず、固形がんの増大スピードはまちまちなので、初診時

に、あるいは初診後間もない時期に、担当医が余命を断定したら、不正

確であるか、ウソであるかのどちらかです。

 第二には、手術や抗がん剤治療を受けさせるための、「脅し」の道具

として、余命告知が使われています。

本件の場合も、元々(抗がん剤治療をしなくても)、三年以上生存でき

る程度の進行度であり、医者が「三か月」と脅して、抗がん剤治療を受

けさせた可能性が高いと思われます。



 Fよく「抗がん剤の名人」のことを聞きます。

本人に合う抗がん剤を見つけ出すのが重要で、それには経験と技術があ

ると。ですから、抗がん剤は、投与の方法によっては効くのではありま

せんか。


 「効く」という意味をはっきりさせると、寿命が延長して初めて、

「効いた」と判断するのが正しい。しかし種々の固形がんで、無数に近

い臨床試験が行われてきても、抗がん剤に延命効果は認められなかっ

た。そこで(自称)名人は、がん腫瘤の縮小をもって、「効いた」と宣

伝することになります。

 が、そこには幾つもの問題があります。二点だけ指摘しておきましょ

う。

 第一に、どの固形がんでも、抗がん剤に対する感受性(縮小の程度)

は患者によってまちまちなので、がん病巣が例外的に(著しく)縮小す

る人が必ず出てきます。だからといって、延命効果を得たことにはなら

ない。・・・・

 第二には、仮にがん腫瘤の縮小を目標としても、実際に抗がん剤を使

ってみなければ、それが縮小するかどうかは分からない。つまり、縮小

するかどうかを事前に見分けられる「経験や技術」は存在しないので

す。それなのに経験や技術を強調するのは、集客のためのセールストー

クです。



 患者から38の質問  

 「近藤先生 本当に抗がん剤をやめていいのですか?」

           近藤 誠 (慶応大学医学部講師)   

                      P62−64




 U 抗がん剤投与の前に



 @肺がんの告知を受け、抗がん剤治療が標準治療と言われました。

この「標準治療」とは、誰がどうやって決めているのですか。


 標準治療の定義はなく、ある進行度の患者に行われるべき治療、とい

ったニュアンスで使われる用語です。

 が、がん治療の分野では、標準治療とされていても、間違った治療法

であることが少なくない。

 一例を挙げると、乳がん治療では、乳房と(その裏側にある)大胸筋

まで切除する手術が、70年間にわたって全世界の全乳がん患者に行わ

れてきました。絶対的な標準治療だったわけですが、今はすっかり廃れ

て、乳房温存療法が標準治療になっています。

 また、胃がん、大腸がん、子宮頸がん等では、行うべきではない手術

法が、日本では現在も標準治療とされています。

 抗がん剤治療の分野では、新薬に関する(臨床試験の)論文が発表さ

れると、その薬を使うのが標準治療だと(医者たちが)言い出すことが

多い。

 この場合、問題点は二つあります。

 一つは、新薬を使えば使うほど、製薬会社や、(臨床試験を実施す

る)医者たちが潤う関係にあることです。そういう状況下では、データ

的な根拠が薄くても、医者たちは「これが標準治療だ」と叫ぶようにな

ります。

 第二点は、新薬の効果が認められたとする臨床試験の結果が、本当に

信頼できるかどうかです(解説する紙幅の余裕がないので、近著参

照)。



 A地方の個人病院で抗がん剤治療をしていますが、主治医に抗がん剤

について質問しても、あまりはかばかしい説明をしてくれません。

国家資格のある医師が、抗がん剤について知識がないということはあり

得るのでしょうか。


 あり得ます。というよりも、圧倒的多数の医者は、抗がん剤について

きちんと勉強していないはずです。

 日本の医療制度には前近代的な面があり、医師免許さえ持っていれ

ば、格別専門的なトレーニングを受けなくても、さまざまな診療行為を

することができます(外科医、整形外科医等が開業すると、内科、小児

科、皮膚科等まで標榜して診療するのが一例)。

 加えて日本には、固形がんの抗がん剤治療を専門とする医者が少な

く、内科医、外科医、婦人科医、泌尿器科医等が、本来の業務の片手間

に抗がん剤治療を施行するのが普通です。

しかし彼らは、日常診療が忙しいので、抗がん剤治療について十分な学

習をしたことがない。新薬が認可された後には、製薬会社が作成して配

布するパンフレットを拠り所にして処方しているのが実情です。




 B自分に処方されている抗がん剤が、どのような審査で認可されたの

かを知ることが出来ますか。また、薬効や副作用を知りたい場合、「添

付文書」というものがあるそうですが、どうしたら見られますか。

 また、それは一般人の知識で理解できるものなのでしょうか。


 抗がん剤に限らず、薬を処方されている方は、「添付文書」を読むこ

とをお勧めします。製薬会社が医療機関に納入する薬に添付する文書で

すが、頼めばコピーしてくれる医者や医療機関も増えています。

 万一断られてしまった場合には、インターネットで検索・閲覧できま

す。キーワード「添付文書」で検索して、「医薬品医療機器情報提供ホ

ームページ」に入り、冒頭にある検索欄に医薬品名を入力すればよい。

 添付文書で注目すべきは、「重大な副作用」の項です。専門用語が並

んでいますが、どんなに重大かは、一般人であっても理解できるでしょ

う。・・・



 C抗がん剤の臨床試験データがおかしいそうですが、データがきちん

としたものかどうかを判定する第三者機関はないのですか。


 新薬認可の場合には、厚生労働省が中心となって、臨床試験データを

審査します。ただ厚生労働省は、製薬会社とのつながりが強く深いの

で、それが第三者機関による審査といえるのかどうか。

 また審査にあたるのは、これも製薬会社とのつながりが強い「腫瘍内

科医」たちなので、公平な審査は期待できない。

 他方、抗がん剤が認可された後には、臨床医たちが中心となって実施

する臨床試験がよく行われます。これに関しては、第三者機関的なもの

すら不存在です。データを取りまとめて統計をとるのが製薬会社という

ケースも多く、試験結果の信頼性を云々する前提に欠けます。



 D急性白血病は抗がん剤で治ると聞きました。

治るがんと、治らないがんがあるのですか。抗がん剤で治るがんと、

治らないがんを教えてください。


 抗がん剤で治る(可能性がある)ものは、急性白血病、悪性リンパ

腫、睾丸のがん、子宮絨毛がん、各種の小児がんです。

白血病でも、慢性白血病は治らず、悪性リンパ腫も(逆説的ですが)悪

性度の低いものは治らない。

 また急性白血病は、若いほど治癒率が高く、高齢になると治らないの

で、60歳以上では抗がん剤治療は止めたほうがよいとする意見もあり

ます。

 これに対し、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、腎がん、膀胱が

ん、子宮がん、乳がん等の固形がんは、抗がん剤では治らない。

 なぜ固形がんが治らないのか、逆に、なぜ上記5種類のがんは治るの

か、理由は不明です。

ただ、それらの治るものでは、がん細胞のアポートシス(プログラムさ

れた細胞死ないし細胞の自殺)が、抗がん剤によって誘導されやすいの

だ、と考えられています。




 E抗がん剤に延命効果はなくても、刹細胞効果があることは確かで

す。ならば、たとえば乳がんの手術後、とりきれなかったがんを殺すた

めに投与する、術後補助療法は意味があるのではないですか。

長期間投与するわけではないので、副作用の影響も少ないように思いま

す。


 質問者には誤解がありそうです。術後補助療法でも、転移がんに対す

る抗がん剤療法と、内容はほぼ同じなのです。

 点滴静注方式だと、抗がん剤の量が多いので、毒性が早期に強く出ま

すし、経口投与方式だと、一回(一日)ごとの毒性は低くても、投与期

間が長くなるので、毒性が蓄積し増大する。

 結果、補助療法でも、抗がん剤の縮命効果が必ず生じるわけです。

 では、がん細胞に対する効果はどうか。

 乳がんに限らず、がんの術後は、患者の体の中にがん細胞が残ってい

るか、いないかのどちらかです。

しかし諸検査をしても、個々の患者がどちらに属するか判定できない。

それゆえ補助療法は、術後患者の全員にすることになります。

 その場合、がん細胞が残っていると、仮に微小ながん病巣でも多数の

がん細胞が存在するので(1ミリ大の病巣に、百万個のがん細胞)、抗

がん剤で治ることはないのです。

 他方、術後補助療法を受ける人たちの大部分は、体の中にがん細胞が

残っていない。この人たちは、いわば健康な状態に戻っているといえま

す。それなのに抗がん剤治療をすれば、健康な人に毒を投与するのと同

じで、寿命を縮める効果しかないわけです。




 F肺がんですでに手術ができない状態ですが、抗がん剤を使ってがん

を小さくすれば、手術ができるかもしれないと言われています。

こういった抗がん剤の使い方は、ありですか。


 これを「術前化学療法」といい、肺がんその他の固形がんで行われて

います。が、生存率を上げる効果はない。なぜならば、

 第一に、体のどこかに転移が潜んでいる人は、それが微小な病巣であ

ってもがんの細胞数が多いので、抗がん剤で治すことはできない。

他方、転移のない人は、縮命効果だけを被ることになります。

 第二には、手術は通常、原発病巣とリンパ節を取り除くことを目指し

ますが、手術ができないということは、原発病巣が周辺臓器に浸潤(侵

入)していたりして、取り残すことが確実なので、手術不能とされるの

です。

 その場合に抗がん剤を使っても、がん細胞をゼロにはできないので、

周辺臓器やリンパ節に必ずがん細胞が残ってしまう。

 とすれば、抗がん剤の治療後に手術をしても、がん細胞の残っている

真ん中を切り進むことになります。こうして、抗がん剤を用いても、術

後に再発することは必至なのです。




 G父の肝臓がんが見つかりましたが、医師から、「これは手遅れ。も

っと早期に発見されたら何とか出来たかもしれない」と言われました。

早期発見とは、いつまでに発見することなのですか。


 がんの種類によって、早期発見の意味は異なります。

 肝がんの場合だと、患者の死亡する原因は一般に、多臓器への転移で

はなく、がん腫瘤によって肝臓が占拠された挙句の肝不全です。

そのため、根本的な治療が可能な段階で発見した場合に、「早期発見」

と呼ぶ傾向があります。

 根本的な治療としては、手術と、ラジオ波焼灼療法があります(一般

的に、後者が施行可能なら、前者より適当)。

が、肝硬変が合併していると、がん病巣が何個も発生することが多く、

その場合、たとえ個々の病巣が小さくても、根治は困難ないし不可能で

す。本件は、担当医が根治性を匂わせる発言をしているので、病巣が一

個だった可能性があります。

 しかし、仮に病巣が一個でもサイズが大きければ、やはり根治は困難

ないし不可能です。本件は、この意味で手遅れだったのではないか。




 H私は、会社の集団検診で胃がんが発見され、「早期発見だからよか

った」と言われました。手術して、現在は健康に暮らしています。

やはり、早期発見には意味があるのではないでしょうか。


 肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん等の、がん検診が実

施されている癌では、「早期発見」が意味するところは、前項の肝がん

と少し異なります。これらの癌は、原発病巣が相当大きくなった場合で

も、転移がなければ、原発病巣の手術や放射線治療は可能です。

 他方、臓器転移があると、たとえ原発病巣が小さくても治すことは

できない。そして臓器転移の可能性が低いのは、結局は原発病巣が小さ

い場合なので、これらの癌でも小さな原発病巣を「早期がん」と呼びま

す。

 * もともと臓器転移の少ない肝がんとは、着目点が異なる。

 さて、検診が行われる癌も含め、すべてのがん患者は、臓器転移が存

在するか、しないかのどちらかです。

 そして臨床データを分析すると、早期がんといわれる時期に転移がな

ければ、仮に原発病巣を治療しないで放置しても、その後に転移が生じ

ることはないことが分かります。

 そこで私は、転移がある癌を「本物のがん」、転移のない癌を「がん

もどき」と名付けました(根拠データは、拙著「あなたの癌は、がんも

どき」参照)。

 がんと診断された時点で、「本物」と「もどき」とを正確に見分ける

方法は、今のところありません(将来もおそらく出てこない)。

 しかし他方、原発病巣を手術や放射線で治療した後、何年たっても転

移が出現してこなければ、治療した時点で体のどこにも転移が存在しな

かった証拠になります。

本件の場合も、転移が出現していないので、「もどき」だったと思われ

ます。

 そこで、がんによると思われる症状のない健常者に行われるがん検診

の意味を考えてみると、発見した癌が仮に「本物」だとすると、すでに

臓器転移が生じているので、治療しても治らない。

 他方、仮に「もどき」だとすると、放置しても臓器転移が発生するこ

とはないので、検診で発見する必要性がない、

つまり、がん検診が寿命を延ばすことはないと言えるのです。




 I放射線と抗がん剤とで、副作用はどう違いますか。


 放射線治療では、放射線が照射される範囲が(5センチ四方とか、2

0センチ四方というように)限られています。

それで、放射線のかかった臓器・組織の副作用しか生じない。

たとえば胸部・腹部の照射では、軽い吐き気や倦怠感が生じることがあ

ります。これらも、治療終了後すみやかに消失します。

 問題は、治療終了後に生じる永続的な障害ですが、発生する線量は分

かっているので、それを越えなければよいわけです。

 これに対して抗がん剤は、薬が全身に回るため、すべての臓器・組織

に副作用が生じる可能性があります。

 点滴静注でよく用いられる「パクリタキセル」(商品名:タキソー

ル)の副作用のうち、重大なものだけ挙げると、ショック、アナフィラ

キシー様症状、白血球減少等の骨髄抑制、・・・・等々となっていま

す。多様で重大な副作用が多種見られることは、すべての抗がん剤に共

通しています。



 J肺がん患者ですが、肺は抗がん剤の毒性が出やすいと聞きました

が、どういうことなのでしょうか。他にも、出やすい部位はあるのでし

ょうか。


 抗がん剤や放射線に対する感受性(副作用の出やすさ)は、臓器によ

って異なります。・・・肺が障害を受けやすい臓器であることは明らか

です。

 その原因は不明ですが、大気中にある種々の汚染物質やタバコの影響

が大きいと思われます。肺気腫という(喫煙者に多い、呼吸が困難にな

る)病気があると、抗がん剤の肺障害が一段と生じやすいので、医学的

禁忌(やってはいけないこと)と考えるのが妥当です。

 他に重大な障害の出やすい臓器として、・・・・




 K肺がんが骨転移して、非常に強い痛みがあります。

主治医からは、抗がん剤、放射線、鎮痛剤の、三つの選択肢があると言

われています。どれが一番効果的ですか。


 即効性のある鎮痛剤を、先ず使うべきです。

標準的には、非麻薬のアセトアミノフェンを試します。有効かどうかは

一回服用すれば見当がつくので、効果が弱ければ増量して服用し、それ

でも駄目なら、リン酸コデイン、モルヒネの順に、麻薬系鎮痛剤を試し

ます。

 痛みが非常に強いというので、これらの手順を飛ばして、いきなりモ

ルヒネから始めることも考えられます。

 モルヒネの効き方は個人差があるので、ごく少量から始めて、鎮痛効

果の有無を確かめながら、段階的に増量していきます。

すべての疼痛患者に、最初、同じ量のモルヒネを処方する医者も多いの

ですが、それだと、ある場合には足らず、ある場合には多すぎることに

なります。

 痛みのレベルに比べて処方量が多すぎると、吐き気や眠気が生じがち

なので、分量を加減することが大切です。

 どの程度痛いか、薬がどの程度効いたかは、患者本人にしか分からな

いので、量の調整は患者自身が判断し、担当医はその判断を助ける役目

に徹することが重要です。

 痛むのが一、二か所程度に限られている場合、もしくは(多数箇所が

痛んでも)飛びぬけて痛いところのある場合には、鎮痛剤と並行して放

射線治療を受けましょう。ほとんどの場合、照射部位の痛みは軽減し、

うまくいけば鎮痛剤も不要になります。

ただし、痛みが取れだすのに、通常、放射線開始から数日ないし数週間

要します。

 これに対して、抗がん剤は使うべきではない。

多数の疼痛患者に使うと、痛みのとれるケースも散見されますが、例外

的です。

 がん細胞を殺す力は放射線より弱く、副作用や毒性は、薬が全身に回

るため、放射線より数十倍強いのです。

 仮に痛みが取れた場合も、副作用や毒性で苦しむので、総合的には損

をします。抗がん剤で痛みが取れそうなケースでは、放射線で必ず痛み

が取れるものです。



 L最近、分子標的薬という新しい薬が開発されたと聞きました。

これまでの抗がん剤とはどう違うのでしょうか。


 従来の抗がん剤は、DNA(遺伝子)等の細胞内分子を傷つける(正

常な働きを妨げる)ことにより、がん細胞を死滅させることを目指しま

した。

 しかし、がん細胞は正常な細胞から分かれたものなので、細胞の構造

機能は、正常なものと共通しています。そのため正常な細胞がやられて

しまう結果としての毒性が生じ、もし毒性を避けようとすれば、抗がん

剤を十分投与できないというジレンマがありました。

 このジレンマを解消するため、がん細胞中に存在する特定のタンパク

だけに抱きついて、その働きを妨げる物質が合成されるようになりまし

た。これが「分子標的薬」で、血液のがんである慢性骨髄性白血病で目

覚ましい成果をあげました。

 他方、固形がんでも、乳がん、肺がん、大腸がん、腎がん等で、種々

の分子標的薬が開発され認可されています。

しかし、これらの固形がんの分子標的薬には、延命効果は認められなか

った(近著参照)。

 固形がんの分子標的薬が成功しない理由の一つは、細胞内の分子の働

きが複雑だからです。

各細胞には2万種以上のタンパクがあるので、そのうち一つを分子標的

薬によってブロックしても、他のタンパクによって細胞の機能を維持で

きる場合が多いのです。

 また、標的となるタンパクは正常な細胞にも存在するので、正常細胞

を死滅させた結果としての毒性が生じてしまい(死亡することもあ

る)、十分な量を投与できないわけです。





  V 抗がん剤以外の治療は


 @アガリクスなど、がんに効くというサプリメントがたくさんありま

すが、実際に効くものがあるのでしょうか。


 延命効果の証明されたサプリメントはありません。

 アガリクスやメシマコブでは、効能本にある「効いた」というエピソ

ードが、ことごとくでっち上げだったことが明らかになっています。

 それ以外のサプリメントを逐一検討することは、紙幅の関係で不可能

なので、理論的に考えてみましょう。

 がんで人が死ぬのは、がん細胞が分裂して数を増やす結果です。

とすれば、抗がん剤のようにがん細胞を死滅させるのではなく、がん細

胞を教育・訓練して、分裂のスピードが遅くなることを目指せば、延命

が図れることになる。・・サプリメントの支持者は、こうした考え方を

共有しているのではないか。

 しかし癌は、遺伝子(DNA)の病気です。がん細胞の分裂のスピー

ドも、変異遺伝子によって規定されている。

そして残念ながら、どんな方法をもってしても、変異遺伝子を元に戻す

ことも、取り除くこともできないのです。

 これが、サプリメントが癌に効かない理由の第一です(別の理由は事

項以下で)。



 A前立腺がんの告知を受けました。数年前に告知を受けた先輩から、

野菜スープが効くと教わりましたが、効果はあるのでしょうか。


 野菜スープに癌の成長を遅らせる効果はありません。

野菜に多く含まれるある種のビタミンは、多量に撮ると、逆に、発がん

性を高めることが臨床試験でも示されています。

 人間の体は本来、多種多様な食材を撮ることを前提としており、特定

の成分を多量に撮ることは本来予定されていないので、危険です。

 野菜スープやサプリメントを飲んで体調が良いという、がん患者の体

験談は、客観的には何の根拠にもならない。

 その先輩は、おそらくPSA検査で、前立腺がんが発見されたのでし

ょうが、PSAで発見された前立腺がんは、その98〜99%が「がん

もどき」です。

 それらを治療しないで様子を見ていくと、PSA値が自然に下落して

正常に戻ってしまうことも少なくない。ところが、もしそういう方がサ

プリメントを始めていると、本人やサプリメント業者は、PSA値が下

がったのはサプリメントの効果だと言い出すことになります。

 胃がんや乳がん等でも、増大しない「もどき」や、縮小・消滅する

「もどき」は少なくないので、それらの方々が野菜スープを始めていた

場合には、やはりその効果だと思い込んでしまう。そういうカラクリが

あるわけです。



 B私は乳がんで肺に転移が生じ、同病の方から食事療法を勧められて

います。効果はあるのでしょうか。また、危険はないのでしょうか。


 食事内容が発がん原因の一つと考えられており、その影響でしょう。

食事の内容を変更すれば、癌に効果があると考える方が多いようです。

しかし、仮に食事中のある成分が正常細胞のがん化を助けたとしても、

遺伝子は既に変異しているので、その後にその成分を撮らなくしても、

変異した遺伝子には何の影響も与えません。また、別の食事内容に代え

ても、変異遺伝子が影響されることはないのです。

 それどころか、食事療法は危険でもあります。

 がんの成長スピードを決める因子は、大きく分けて二つあります。

 一つは前述した変異遺伝子ですが、別の因子は、体の抵抗力です。

抵抗力というと、免疫を思い浮かべる方も多いと思われますが、がん細

胞に免疫が負けたからこそ、がんはその大きさになって眼前にある。

 ここでいう抵抗力は、免疫以外の力です。

すなわち、がんに対する防波堤となるべき正常組織の強固さを意味しま

す。この強固さを支える最大の要因は、体の栄養状態なのです。

つまり、栄養状態が良ければ、正常組織はより強固になって、がん細胞

がはびこるのを阻止し、あるいは成長を遅らせる。これに対して、栄養

状態が悪くなると、がん細胞がはびこりやすくなるわけです。

 栄養状態の良・不良の目安は、体重です。

がん患者は、ぜひとも標準体重を維持する必要がある。痩せすぎると、

がんの成長スピードが速くなるからです(これに対して、多少の太りす

ぎは、成長スピードを速めない)。

 この意味で、ダイエットして痩せることは危険です。

逆に、食事療法で目の敵にされがちな、肉、魚、卵、エビ、カニ等には

危険はない。臓器転移のある人は余命が限られているので、大いに美味

しいものを食べて、残された人生を楽しむようにしましょう。




 C私は肺がんで、三大療法(手術、放射線、抗がん剤)すべて効果が

なく、温熱療法(ハイパーサーミア)を勧められました。これは保険診

療もあるので、認められた療法だと思いますが、どのくらい効果があり

ますか。


 私は80年代に、温熱療法を何人もの患者で試したことがことがあり

ますが、がんの死滅効果はほぼなく、副作用が強かったので(熱中症の

ようになる)、温熱療法には見切りをつけ、治療装置も撤去しました。

 国が保険適用を認めたのは、早とちりだったと思います。

 理論的に考えても、がん細胞を死なすためには、摂氏四十数度以上に

しなければならないのですが、その温度では、正常な細胞も死んでしま

います。

 また、特定の(限局した)部位の温度を上げようとしても、局所に加

えられた熱は血流によって速やかに運び去られてしまうので、局所の温

度は十分上がらない。かえって運び去られた熱によって全身の体温が上

がり、熱中症になるわけです。

 熱を、がんの局所に加えるのではなく、全身に加える「全身温熱療

法」も喧伝されています。が、前述したように、がん細胞の死滅する体

温にしたら患者が死んでしまうので、中途半端に体温を上げるだけです

(つまり、がん細胞は死滅しない)。

それで料金を請求したら、詐欺的です。



 D膀胱がんで、医師からは免疫療法を勧められました。どのくらい効

果がありますか。


 免疫は、細菌、ウイルス、毒素等、外から体内に入った異物を排除す

る役目を担っています。

もし相手を間違えて、体を構成する成分に攻撃を仕掛けたら大変なこと

になるので(その例が、関節リウマチ等の自己免疫疾患)、各人の体に

は、「自己」(自分本来の構成部分)と、「非自己」(異物)とを、見

分ける仕組みが備わっています。

 ところで、がん細胞は正常な細胞から分かれたので、それを構成する

2万種以上のタンパクは正常細胞と共通しており、「自己」なのです。

 それゆえ、がん細胞を免疫が攻撃することは、原則としてない。

ただ、変異遺伝子が作り出すタンパクは、一部が本来のタンパクとは異

なっているので、「非自己」と認識されて免疫によって排除される事態

がありえます。しかしそれは、がん細胞が発生したごく初期に限られま

す。がんが検査によって検出できる大きさになったということは、免疫

が「変異タンパク」に対して、無力・無効であったことの何よりの証拠

です。

 この段階まで育つと、免疫に関与する細胞をいくら教育・訓練しよう

としても、まれな例外を除いて、免疫ががん細胞を「非自己」と認識し

て排除するようにはならないのです。

 免疫療法を研究することは各研究者の自由ですが、治療として料金を

請求したらインチキです。



 E肝臓がんの患者ですが、主治医からラジオ波焼灼という治療法を勧

められました。これはどういう治療法ですか。


 電子レンジに電磁波が用いられていることから分かるように、電磁波

の作用で生体組織は熱を出します。そこで、超音波装置で病巣を観察し

ながら、肝臓に針を刺して病巣に到達させます。そして針先を開いて、

そこにラジオ波という電磁波の一種を流すのです。

 すると、三センチほどの範囲にある生体組織は熱の作用で死滅します

(がん細胞のみならず、正常な細胞も死滅する)。

手術のように退院まで長期間を要することがない一方、治療成績は手術

に劣らない(手術より優れていると主張する医者もいる)ので、手術に

優先して検討されるべき治療法です。

 原発性肝がんでは、病巣の数が少ない場合(常識的には三個程度ま

で)に、実施されています。

 また、どの大きさの病巣にまで実施するかは、術者の腕前によるので

どの治療施設を尋ねるかが重要です。

 他方、転移性の肝がんは通常病巣が多数あるので、あまりよい対象で

はない。ただ、大腸がん肝転移では、転移個数が少ない場合があるので

その場合には治療対象となります。



 Fモルヒネは麻薬というイメージが強いのですが、痛みを和らげるた

めに使用しても、中毒などになりませんか。


 モルヒネに対する依存ないし嗜癖が問題となるのは、注射した場合で

す。注射すると血中濃度が急に上昇し、そのため気分が変化するので

す。

 しかし、がん疼痛に対するモルヒネ等の麻薬は、注射することはな

く、経口投与や経皮膚投与(パッチを貼る)によるので、血中濃度も急

に上がらず、問題は生じません。

また痛みが取れる量を超えて投与しようとすると、吐き気や眠気が生じ

て体がモルヒネを拒否します。

 副作用の面からみると、ロキソニンやボルタレン等の非麻薬系の鎮痛

剤よりはるかに安全な薬です(これら非麻薬では、消化管出血等で患者

が死亡することも少なくない)。





  W  がんの正体とは



 @私は数年に一回、大腸のポリープをとる手術をしています。

「このまま放っておくとがんになる」と言われています。良性のポリー

プが悪性のがんになることは、本当にあるのですか。


 結論からいうと、ポリープは放っておいても、がんにはなりません。

 ポリープをほうっておくと、やがてがん細胞が発生し(粘膜内が

ん)、さらに放置すると、粘膜の外にまで進展し、最後には進行がんに

なって他の臓器へ転移するという考え方を、「ポリープがん化説」とか

「多段階発がん説」といいます。

欧米の専門家の間では、これが広く信じられてきました。

 しかし日本での研究で、ほぼ否定されたといえます。

 というのも、仮にこの考え方が正しいとすると、ポリープの頂上にが

ん病巣ができ、それが大きくなって崩れてくるという、あたかも富士山

の頂上のような形の移行段階の病変を経て、進行がんになるはずです。

 ところが内視鏡でいくら多数のポリープ患者を調べても、移行段階の

病変が見つからないのです。

それで、この移行段階は、内視鏡検査の行われない夜間のうちに始まり

かつ終わってしまう、それで昼間に検査しても移行段階が発見できない

のだ、と揶揄されています。

 しかも日本人の臨床医の一人が、大腸がんは一見正常に見える粘膜部

分から急に立ち上がってくることを証明したのです(いわゆる平坦型が

ん)。

 欧米でも、すべてのポリープを切除しておいても大腸がんの発生する

ことが問題とされるようになり、平坦粘膜からいきなり癌が発生すると

いう説が支持を広げています。

 今日では、「このまま放っておくと癌になる」は、医者が検査料を稼

ぐためのセールストークに堕しています。




 A肺がん患者ですが、今のところ転移はありません。

これは今後も転移しない「がんもどき」なのか、転移する「本物のが

ん」なのか、今の段階でわかるでしょうか。


 肺がん、胃がん等、固形がんの多くは、原発病巣を治療してから三年

間転移が見られなければ、その後も転移が生じることはまずないと考え

られます。したがって本件で治療後三年以上経っていれば、転移がない

「がんもどき」だったのでしょう。

 では治療前に、「本物」と「もどき」を見分けられないか。

この点両者は、病巣を顕微鏡で調べる病理組織診断で、同じく「癌」と

診断されます。

 癌と診断されたものが、「本物」と「もどき」に分かれるので、治療

前ないし直後に、両者を正確に見分けることはできません。

ただ、たとえば肺がん一期を例にとると、転移して死亡するのは二割程

度なので、全体の八割は「もどき」であろう、という程度の事前予測は

つきます。



 B私は大腸がんで、今のところ転移はないから早めに手術をしましょ

うと言われました。転移するがんに変わるのでしょうか。


 医者が「今のところ転移はない」という場合は、二つのケースが考え

られます。

 一つは、原発病巣の進行度から見て、どこかに転移が潜んでいる可能

性が高いけれども、それまでの諸検査では転移の存在が明らかでない、

という場合です。

転移が微小とはいえ既に存在しているのであれば、原発病巣の手術はほ

ぼ無意味です。

 第二は、原発病巣の進行度から見て、転移が存在している可能性はほ

とんどない、というケースです。

この場合医者も、「もどき」の可能性が高いと考えているわけです。

この場合に、大腸がんを放置しておいたらどうなるか。

 「もどき」を放置している間に初めてがん病巣が転移し、それが育っ

て転移病巣となって出現してきたというケースは、これまで一件たりと

も報告されていません。潜んでいる転移がない場合には、原発病巣を放

置しておいても、将来転移が生じることはないと考えられるのです。



 C私の父が肺がんで手術を受け、術後の定期検診を昨年の11月に受

けた時は異常なしだったのに、12月に再検査を受けたら、手遅れだと

言われました。がんはそんなに速いスピードで進行するのでしょうか。


 本件では、定期検診のわずか1か月後に再検査をしているので、その

間に痛み等の症状が出現してきて、それで再検査になったと思われま

す。

 ところで、定期検診で用いられていたのは、おそらく胸部CTでしょ

う。そうすると、たとえば骨転移はCTでは発見しにくいので、定期検

診時には異常なしとされ、すぐに痛みが出てきたという事態は十分考ら

れます。この場合、骨転移は定期検診時に既に存在していたのですが、

痛みの出た時期はたまたま検診直後であったわけです。

 一般論をいうと、転移病巣であっても、その成長スピードは比較的ゆ

っくりです。転移病巣の直径が倍になる期間が一か月というようなこと

は、皆無ではないが通常見られず、たいていは直径が倍になるのに何か

月もかかります。




  X  抗がん剤を拒否するには




 @人間ドックで乳がんが発見されました。日常生活には何の不便もあ

りませんが、放置するのは不安です。本当に治療をしないで経過を見て

いるだけの人はいるのですか。

 また、その人たちはどうなりましたか。


 乳がん、胃がん、肺がん、子宮がん、前立腺がん等、さまざまな癌で

治療をしないで経過を見ている人たちは、確実に存在します。

現に私の外来では、これまで150人以上の経過を見てきました。

あまり進行していない癌の人が多いのですが、進行がんの人たちも少な

くない。日本全体では、その数倍、数十倍の人たちが経過を見ているこ

とでしょう。

 前立腺がんや胃がん等で、まとまった数の患者の経過観察結果を報じ

た学術論文も幾つもあります。

 経過は、私が以前から述べてきたところと一致します。

 「本物」は徐々に進行していくし、転移も出現してくる。

 これに対して、「もどき」と思われるケースでは、徐々に増大するこ

ともあるが、大きさが変わらないこともあるし、縮小して消失すること

もある。そして転移は生じてこない(詳しくは、「あなたの癌は、がん

もどき」参照)。



 A大腸がん患者ですが、抗がん剤を打つと身体がだるくつらいのでや

めたいのですが、主治医は、「抗がん剤をやめて病状が悪化しても責任

が持てない」と、やめさせてくれません。

 また、患者への抗がん剤の投与は主治医が決めるのですか、それと

も、病院の方針なのですか。抗がん剤を止めたいなら、別の病院に行っ

てくださいと言われました。

 どうしたらよいですか。


 抗がん剤を使うかどうかは主治医が判断することですが、大腸がんを

担当する医者が一人しかいないと、その医者の考えが病院全体の方針に

見えることもあるでしょう。

 「俺の言うことが聞けないなら他所へ行け」と凄むのはヤクザと同じ

で、倫理面も低級な日本の医療水準をよく表しています。

本当に悲しい現実で、何とかしなければと思いますが、患者さんに(ヤ

クザと)闘えとけしかけるわけにもいかない。

 そこで代替策を考えてみましょう。

 臓器転移を叩くために抗がん剤治療が行われている場合、延命効果は

ないので、転移による症状がなければ、病院通いをする必要はありませ

ん。

 また、転移による症状があれば、緩和ケア医や放射線治療医に診ても

らうほうが通常妥当なので、紹介状を書いてもらい意見を聞きましょ

う。転移による症状を抗がん剤で何とかしようとする医者からは、離れ

るのが賢明です。

 抗がん剤治療が術後の補助療法として行われている場合、やはり延命

効果はないので、主治医に見切りをつけても損にはなりません。

 もっとも大腸がんは(肺がんや胃がん等とは異なり)例外的に、臓器

転移を治療すると治ることがある癌なので、しばらくは肝臓のチェック

をするとよいかもしれない。

 ただ、仮に転移が生じた場合にも、そういう低級な病院で治療を受け

ないほうがよいので、近所の内科医を尋ねる等して、術後3年まで、半

年に一度程度、肝臓の超音波検査と、肺の胸部レントゲン写真を撮ると

よいでしょう(CT検査は被ばく量が多いし、そこまで精密な検査は必

要ない)。

 また、どうしても今の主治医のところに止まりたければ、「点滴は副

作用が辛いから、経口の抗がん剤にしてください」と申し出て、薬をも

らって飲まずに捨てる、というのが一案です。




 B父が胃がんで、今は腹膜などに転移し、主治医からは「あとは抗が

ん剤治療しかない」と言われました。抗がん剤を使いたくないのです

が、治療なしとなると、父が落ち込んでしまうのではないかと心配で

す。

 何か治療は継続したいのですが、他に手段はないのですか。


 親思いのお子さんを持たれて、お父様も幸せですね。ただ癌の場合

は、本人は抗がん剤を止めたいのに、夫や両親が承知しないといったケ

ース等、家族の優しさが逆に患者本人を苦しめることが多々あります。

 それに本件で、延命策があると偽った場合、どういう将来が待ってい

るのか。辛い(寿命を縮めかねない)抗がん剤治療を受けるか、金食い

虫の民間療法に走るか、どちらかでしょう。

 その結果、体力、お金、時間を空費して、いよいよ本人が最後を自覚

したときには、もう何をする気力も体力も時間も残されていない、とい

った事態を迎えることは確実です。

 私は、こういう場合の解決策は、患者本人と家族が真実ないし情報を

共有することの中にしか見いだせない、と考えています。

 本件でいえば、腹膜転移は早晩死を免れないこと、根本的な治療法が

ないことを話す。そして、本人がそれらを理解すれば、本人と家族が互

いに感謝しつつ、残された時間を充実させてすごすことができます。

 もちろん本人が理解せず、免疫療法等のインチキ療法に走ることもあ

るでしょう。しかしそれは、本人の判断なので仕方がない。

ではあっても、偽りの介在しない生活や家族関係は、これまでより充た

されたものになるはずなのです。



 C今までAという抗がん剤を投与されてきましたが、効果がないので

Bに乗り換えたらどうかと提案されています。

乗り換えるべきか、止めるべきか、どうでしょうか。


 効果がないというのは、がん腫瘤の縮小が見られなくなったか、逆に

増大してきた、という意味だと思います。

 抗がん剤は、腫瘤が縮小した場合にも、延命効果は認められないので

すが、それは抗がん剤に毒性による縮命効果があるためです。

今の抗がん剤(A)を止める判断は妥当です。

 では、Bに乗り換えたら効果があるのか。

抗がん剤にはいろいろな種類があり、胃がんや乳がん等個々の癌に使用

が認められている(認可されている)抗がん剤も、複数あります。

 しかしいずれも、殺細胞薬である点で共通している。

それゆえ、正常な細胞を死滅させることによる毒性と、その結果として

の縮命効果を確実に伴います。

 他方、ある抗がん剤で縮小しなかった癌は、各細胞に「抗がん剤耐

性」が備わっているわけで、通常、別の抗がん剤にも耐性があります。

とすれば抗がん剤を乗り換えても、縮命効果と耐性を伴うわけで、毒性

以上の効果は期待できません。

 結局、単に抗がん剤(A)を止めるのが妥当です(乳がんを例に、抗

がん剤を乗り換えるたびに寿命が縮んでいくデータ的根拠を、近著に示

した)。



 Dなぜ効かない抗がん剤を、医師は勧めるのでしょうか。


 どういう医者も、抗がん剤が効かないことを知っているか、知らない

か、どちらかであるはずです。

後者の場合、その医者は勉強が足らず、そのため、抗がん剤は効くと思

い込んで、患者に勧めているわけです。

 前者の知っている医者の場合は、抗がん剤を勧める理由は複合的で

す。

  患者に「もう治療法はない」と言い出せないという心情もあるでし

ょう。

 「抗がん剤は効かない」と断言したら、同僚や院長に白い目で見ら

れ、仲間はずれに遭うかもしれない。

 他方では、抗がん剤を使うほど医療機関が儲かるという仕組みもあり

ます。抗がん剤の売り上げのほとんどは製薬会社へ行ってしまい、病院

の利益にはならないのですが、患者に発生するさまざまな毒性に対処す

るための、治療代や入院代が大きいのです。

 患者が亡くなるほどの毒性が生じれば特に儲かるという、おぞましい

関係があります。

 また、「腫瘍内科医」という、固形がんの抗がん剤治療専門医は、抗

がん剤治療に意味がないことを認めることは、自分の職業の無意味さを

自白するのと同義なのです。

 これらの諸事情があいまって、抗がん剤治療が推進されているわけで

す。



 E効き目のある抗がん剤が開発される可能性はあるのでしょうか。


 抗がん剤が効くためには、がん細胞の成長(つまり分裂)だけを抑制

し、正常細胞のそれは抑制しないことが必須です。しかし、がん細胞は

正常細胞から分かれたものなので、細胞の構造や機能が共通していま

す。したがって、がん細胞を抑制する物質は、必ず正常細胞も抑制して

しまう。この例外はありません。

 したがって、固形がんに関しては、効き目のある抗がん剤は、永遠に

開発不能と思われます。



 F私は七十歳の男で、仕事はすでにリタイアし、趣味のゴルフを楽し

む悠々自適の暮らしですが、先日、膀胱がんと診断されました。

 すでに転移があるようで、抗がん剤治療と、排尿などのQOLを考え

ての膀胱全嫡出を勧められました。

 近藤先生なら、どのような治療法を選びますか。


 転移というのは、リンパ節転移ではなく、他の臓器(骨や肺)への転

移と思われます。もしリンパ節転移なら、医者は、QOLのためではな

く、根治のための手術だと強調しただろうからです。

 そこで臓器転移の存在を前提とすると、残念ですが、過半は一年以内

に亡くなり、少数の人が二年生きることができ、ほぼ全員が三年以内に

亡くなります(膀胱がんの場合)。

 抗がん剤治療は無意味かつ有毒で、それこそQOLを損ねます。

それゆえ私は、抗がん剤治療は決して受けない。

 また膀胱全摘出術も、がんが治らないことが分かっているのに、手術

は過大な負担を患者に課し、それで死ぬこともある。

術後の排尿処理が大変だし、人口膀胱を作成してもらっても、自然の膀

胱のようには排尿できません。

 といって、膀胱への放射線治療も、手術ほどではないが、副作用ない

し合併症の問題があります。

それゆえ、症状が血尿程度であれば、私は原則として放射線治療も受け

ない。

 ただ、がんが周辺組織に入って、頻尿等の不快な症状が出れば、たぶ

ん放射線治療を受けるでしょう。その場合、放射線の総量を中等量(4

0〜50グレイ程度)にしておきます。

 化学放射線療法(ケモラジ)といって、抗がん剤と放射線とを併用す

る方法が増えていく兆しが日本にもありますが、本件では臓器転移があ

るので、ケモラジではなく、放射線単独治療にします。

 本件では、いずれ臓器転移が育ってくるはずですが、脳、肺、肝臓は

転移による症状がなければ、治療を受けない。

 脳は麻痺症状が出たら、放射線治療を検討しますが、そのときの全身

状態との兼ね合いの判断になります。

 骨転移は痛みが生じることが多く、痛みがあれば、まず鎮痛剤を試し

ます。非麻薬系鎮痛剤から始めるのが標準的ですが、痛みが強ければ、

最初からモルヒネを極少量(一回2ミリグラム程度)試し、痛みの程度

をみながら増量する方法を選ぶでしょう。

 また痛みの箇所が限られていれば、放射線治療も受けることにしま

す。

 最期の場所は、家族が面倒をみてくれるというなら在宅を選び、迷惑

をかけそうなら緩和ケア病棟(ホスピス)に入所します。



  患者から38の質問

 「近藤先生 本当に抗がん剤をやめていいのですか?」

    近藤 誠 先生 (慶応大学医学部講師)


  文藝春秋 季刊秋号 「がんを生きる」

                  定価  1,000円 
       
          P62−78より     
      

 ◎ 特に、現在がんで苦しんでいらっしゃる方には、ぜひ読んでいた

だきたいです。何百万円もの価値がある(お金持ちの人には、そうした

金額の計算など無意味なほどの)・・・ように、私などには思えます。

 それで、ぜひ読んでいただきたくて、詳細にご紹介させていただきま

した。著作権などの関係で問題があるのかもしれませんが。


 文藝春秋 季刊秋号 には、他にも、

 @「私はこうしてがんを受け入れた」

 やなせたかし・ 石井ふく子・キャシー中島・小椋佳・米長邦雄・鳥

越俊太郎・田原総一郎・・・著名な方々の、スペシャル・エッセイの特

集。


 A名医が薦める「がんの名医」32人


 B医者しか知らないがんの常識


 Cがん保険のカラクリ


 D家族の悲しみを癒す「百の物語」


 Eがんと向き合う宗教病院


 Fがん治療完全スケジュール帳

・・・その他、秀逸で盛りだくさんの内容ですので、

ぜひお読みになってみてください。

 出版界の事情はよく知りませんが、前に書店で品切れなため注文し

てもらったところ、結局入手できなかったことがありますので、お早め

に・・・。

 最後まで目を通していただきまして、本当にありがとうございます。

お疲れ様でした。・・・私も一週間前から、「近藤教」の信者になりま

した(というと、先生はお怒りになるでしょうか)。

 お体に気を付けて、これからもがん患者のために(また、日本の医療

水準の向上のためにも)闘っていただきたいです。




























 

















       






















































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































 

















































































  











































































































































 














































































































































































































































































 

























 











































































































































































































































 



































「栄光のハプスブルグ帝国」を聴きました No.15 - 2011/04/25
 もう何年も前ですが、NHKラジオ第2の「文化講演会」で、

「栄光のハプスブルグ帝国」が、4週連続で放送されました。私は、こ

の番組が大好きで、とくに歴史・科学技術などの時は、熱心に聴いてい

ます。

 講師は、東洋英和女学院大学の塚本先生でしたが、運よく120分テ

ープ2本に録音できたため、その内容に感動して、また先生の低音で朴

訥な話し方も魅力的で、子守唄代わりに毎晩聴いていました。


 残念なことに、1・2回目のテープを紛失してしまい、全体の記憶も

かなりぼやけてきましたが、簡単にご紹介させていただきます。

この講演を聴いてから、世界史にも興味を抱けるようになりました。

 *この項は、次回の「ローマ人の物語」の前書きになるのですが、

 長くなりそうなので、別建てにいたしました。 


 上手には書けませんので、思い出すままに、箇条書きでご紹介いたし

ます。



(1)オーストリアという国は、東京都の半分を超える位の人口の、

ヨーロッパ中部の「小国」だそうですが、とくに19〜20世紀にかけ

て、
 
 音楽(たとえばウイーンフィルハーモニーなど)はもとより、政治・

経済・法学・医学・心理学など各学問の分野で、「オーストリア学派」

とか、「ウィーン学派」とよばれる学者の人達が、世界中の各学界の支

配的な地位を占めていたことを、昔学校に行っていたころ、不思議に感

じたことがあります。



 第1次世界大戦を、フランス・イギリス・アメリカなどを相手に、ド

イツと一緒に戦って敗れるまでは、オーストリアは、中部ヨーロッパを

中心に600年以上にわたって繁栄した、ハプスブルク帝国の宗主国で

あったことを、当時は知りませんでした。



 ハプスブルグ家は、10世紀の半ばアルザス地方に起こり、その後拠

点としたスイスの山城「ハプスブルグ」が、家名となったそうです。

 その最盛期には、スペイン・北イタリア・ボスニアなども領土とし、

「陽の沈まない帝国」といわれたほど、広大な領土と民族を抱えてい

たそうです。




(2)ヒトラーの父親は、ハプスブルグ帝国の役人(税関の職員?)だ

ったそうですが、ヒトラーは青春時代、絵の勉強のためにウィーンへ行

き、志かなわず、浮浪者のような生活を送った経験があるそうです。


 帝国の都「ウィーン」では、当時ユダヤ人が大手を振って街中をかっ

歩していて(?)、その時に感じた強烈な反感や屈辱感が、後のユダヤ

人迫害に結び付いたのではないか、といわれているそうです。


 *当時のウィーン大学では、学生の2割位(?)がユダヤ人だった
  そうです。


 *次回にご紹介する「ローマ人の物語」でも、時の皇帝がユダヤ人
  を迫害する記述があり、それを読むまでは、ユダヤ人は一方的に
  虐められていたのだと思っていましたが、それなりの理由があっ
  たことを知りました。




(3)上記のように、広大な領土と多数の民族を抱えていた帝国ですが

その統治の仕方は概して緩やかで、ちょうどアフリカのサバンナで多く

の動物が(個々には争いながらも)「牧歌的に(?)」共存していたよ

うに、帝国内の生活は快適だったそうです。


 帝国内の移動(旅行)も、国境によって制限されることもなく、自由

だったそうです。


 各民族の自治も認められ、文化的にも、当時のヨーロッパで随一の水

準を誇っていたそうです。


 それが、フランス革命やナショナリズム、民族主義、ロシア革命など

の激しい思想や運動に翻弄されて、また、イタリアやドイツとの戦争に

敗れてそれらの国が帝国を離脱したため、徐々に帝国の将来には暗雲が

立ち込めていった、ようです。


 ドイツと組んで戦うことには反対もあったそうですが、第1次世界大

戦での敗戦によって、ハプスブルグ帝国は崩壊してしまいます。




(4)巨大な帝国の崩壊によって、中部ヨーロッパを中心に大きな政治

的・軍事的な「真空地帯」ができてしまいました。


 後世の歴史家の中には、もし帝国が健在であったなら、後のヒトラー

やスターリンによる侵略を招くことを防げて、帝国に所属していた各民

族も悲惨な目に遭わなくても済んだのではないか、そのためには、連邦

制などの民族の自治を認める工夫を、もっと早くから取り入れるべきで

はなかったのか、などと残念がる人もいるそうです。


 ハプスブルグ家は、戦争によってではなく、結婚政策によって領土を

拡張していったのだそうですが、・・・その末路も、結婚政策の失敗が

帝国崩壊の一つの原因となったのは、どこか暗示的です。


 ハプスブルグ家のような、ヨーロッパの「超名門」の家系ともなると

そのお妃候補も誰でもよいというわけにはいかず、序列なども大変やか

ましくて大変だったそうです。


 1914年6月に、オーストリア皇太子夫妻がボスニアで暗殺された

「サラエボ事件」を契機に、第一次世界大戦は始まったとありますが、

その時の妃は正式な序列を認められていず、帝国内の公式行事には同席

できない間柄であったため、(憂さ晴らしに?)巡幸に出かけたとき、

悲劇は起こったのだそうです。




(5)帝国が崩壊して、各民族の独立国ができるわけですが、いくら民

族独立への情熱・希望に燃えていても、国としての体裁を整えるだけの

時間や力がなく、・・・政権を獲得したヒトラーのドイツに、次々と侵

略・併合されてゆきました。


 ヒトラーのドイツが打倒された後も、それらの東欧諸国はスターリン

の強権的な支配を受け続け、決して解放されたわけではない点では同様

でした。 


 1956年のソビエト連邦共産党大会での「スターリン批判」が公然

化した後、ポーランド・ハンガリーなどで反ソ的な暴動が次々と起こり

やがて「東欧革命」へと至るわけですが、・・・塚本先生によりますと

その背景には、ハプスブルグ帝国時代への強い郷愁の想い(高度な文化

的生活を享受できていたのに、戦車や秘密警察による弾圧政治で統治さ

れなければならないことへの強烈な反発)があったのだそうです。



  *「東欧革命」:旧ソ連のペレストロイカ政策や、東欧政策の変更

によって、1989年の夏から秋にかけて、ポーランド・ハンガリー・

東ドイツ・ルーマニア・ブルガリア・チェコスロバキアなどの東欧諸国

で、民主派・改革派が政治の実権を握り、次々とソ連型の一党独裁体制

を放棄したこと。

 さらに、1990年10月の東西ドイツの統一、同年12月のアルバ

ニアの一党支配終結、翌年7月のワルシャワ条約機構の解散、12月の

ソ連崩壊と展開していった一連の動きをいうそうです。




◎なんだか「尻切れトンボ」のような終わり方で申し訳ないのですが、

次回からは(延々と)、塩野先生の「ローマ人の物語」をご紹介させて

いただきます。
 



続けて、「普及版 がんも自分で治せる!安保徹の免疫学入門」も、読んでみました。 No.14 - 2010/04/08

 もう何年も前に、「別冊宝島」で、抗がん剤特集の本を読んだことがあります。



 @抗がん剤のルーツは、第一次大戦中の毒ガスであること、

 A多くのがんに抗がん剤は効かないこと、

 B新薬の承認(?)試験においてその薬効が認められても、それは一

般人の感覚で「効く」というほどのものではないこと、などを読んで、

抗がん剤について不信感をいだくようになってしまいました。



 医学の知識をもたない、私のような人間が発言することは、大変おこ

がましいことですが、たとえば、


 外科手術については、

 @がん細胞だけを除去できるのか、

 A手術を契機に他の部位へ転移することはないのか(酷な言い方です

が、転移してしまいましたと仰るが、転移させてるようなものではない

か?)、

 B健康な人間でも「体にメスを入れる」のは大変な負担だと聞くの

に、手術がさらに「追い討ちをかける」ことにならないか?


 また、放射線治療についても、

 胸部のレントゲン検査などでさえ、むやみに受けない方が良いと聞く

のに、がん細胞に放射線を照射して、がん細胞だけを殺すことができる

のか?(ピンポイントで照射するのだとは言いますが・・・)など、疑

問が尽きません。


 そもそも、がんになるには、


 なにか原因がある(あった)はずなのに(よく、会社が倒産してしま

ったとき、がんにもなってしまった、などという話を聞きます・・)、

原因については反省せず、


 上記の3つの治療法(がんの三大療法)に頼ることは、そうした意味

ではみな、対症療法に過ぎないのではないか(すごい、非難を受けるか

もしれませんが)とも思います。


 前置きが長くなり過ぎて、不愉快に感じる方もおられると思います

(どうか、ご容赦ください)。


・・・私などが話しても、まったく、「チンピラのたわ言」あるいは、

「負け犬の遠吠え」にしか過ぎませんが、


 安保先生も、冒頭でご紹介した本のなかで、同様のことを理論的に、

しかもやさしい語り口で、述べておられるのです。


 本の値段も安いですし(680円)、興味のある方には、ぜひ購入さ

れることをお勧めしますが、とくに印象深かった箇所を、ご紹介させて

いただきます。




(1)生き方を変え、免疫力を高める生活で、どんな病気もすぐ治る!


 @がん患者のほとんどが、免疫抑制の極限状態にある

 「私たちの気づいたことは、がんの患者さんのほとんどが、体内のリ

ンパ球の減少によって「免疫抑制」の状態になっているということでし

た。

 これは、働きすぎだとか心に悩みがあるなど、肉体的・精神的な強い

ストレスが原因になっているのではないかと考えました。

 そこで、患者さんにたずねてみたところ、その考えは、みごとに的中

したのです。・・・がんの患者さんには共通して、強いストレスが背景

にあることがわかりました。

 この肉体的・精神的ストレスこそ、がんの真の原因だったのです」



 Aがんの三大療法は、180度誤った方向に進んでいる


 安保先生の研究室には、全国のがん患者さんから、毎日何本もの電話

がかかってきます。

 その多くは、手術を受けたり、その後抗がん剤や放射線照射の治療を

受けたりしている患者さんで、つらい副作用に耐えながら治療を受けて

いるのに、快方に向かわないといった、切々とした悩みが語られます。
 
 そのとき先生がアドバイスすることは、ひと言です。

「即刻、今受けている治療をやめてください。そうして副交感神経を刺

激する生き方をすれば、1〜2年もしないうちにがんは治ります」

 先生は、誰もが信じてきた「手術」「抗がん剤」「放射線治療」は、

すべて間違っていると言い切ります。

「・・・これらの三大療法はいずれも、免疫システムを抑制する方向に

あることに大きな問題があります。


 がんの本当の原因は、強い免疫抑制状態にあるのですから、方向が1

80度違っているのです。たとえ一時的にがんが切除されたり、小さく

なったりしても、いずれ再発する可能性もあり、そのときには、免疫力

が弱まっていてがんと戦うことができなくなってしまいます」



 B免疫力を高めれば、がんはみるみる治っていく


「免疫」:これは、体の異常を監視して体を守り、また異常が発生した

ときには治そうとする力をコントロールするシステムだといえます。

 したがって、免疫力さえしっかり発揮できる状態を保っていれば、ど

んな病気とも戦えるのです。これは、もちろんがんについても当てはま

ります。

「がんと聞くと、とてつもなく凶悪な細胞を連想し、生じてしまったら

周囲の正常な細胞をつぎつぎと破壊していくという、おそろしい悪の権

化のようなものを連想する人が多いと思います。


 しかし、実は、がん細胞の生命力は強いものではないのです。

 発がんの研究を行う場合には、ネズミが実験に使われます。このと

き、ネズミにがんを発生させようとすると、がん細胞を100万個も注

射しなくてはなりません。それでようやく発がんする。

 ところが、リンパ球を減らしたネズミ、つまり免疫力を弱くしたネズ

ミの場合には、1000個のがん細胞で発がんします。

 がん細胞は、それほどリンパ球に弱いというわけです。
 
 健康な人の体内でも、毎日100万個ほどのがん細胞は生まれていま

す。

 しかし、発病に至らないのは、免疫力が働いてがん細胞を殺している

からなのです」


 先生の研究では、リンパ球を増やすような生活スタイルに移行する努

力をしながら、副交感神経を刺激するような治療を行うと、自然にリン

パ球が増加してくることが確かめられています。


 がんの患者さんは、リンパ球の割合が、白血球全体の30%未満にな

っています。これが、免疫抑制の状態ということになります。正常なら

ば、だいたい35%の割合です。

 ところが、リンパ球が30%を上回ると、がん細胞がどんどん退縮し

始めるのです。つまり快方に向かっているということになります。

 進行性のがんさえ、7割以上の割合でがんが退縮したり、治ったりす

ることが確かめられています。

 
 がんは、免疫力を強めることで治すことができます。同時に、免疫力

を高めるということは、がんの予防にもつながるわけです」・・・



 Cがんを治す4か条を日常的に実践すること


 では、自分自身でできる免疫力アップの方法とは、どのようなものな

のでしょうか。安保先生は、次のような「がんを治す4か条」を提唱し

ています。


 1.ストレスの多い生活パターンを見直す

 2.がんの恐怖から逃れる

 3.免疫を抑制するような治療を受けない(あるいはやめる)

 4.積極的に副交感神経を刺激する



 「がんの最大の原因は、「ストレス」にあります。

 ですから、肉体的にも精神的にもストレスにさらされない、あるいは

できるだけ少なくなるような生活パターンに変えるように心がけてくだ

さい。


 もう一つ大切なことは、仕事も家事も7割でとどめることが大事なの

です。

10割の仕事をしようとするから、どうしても無理をしてしまうので

す。わたしも、仕事は5時、遅くても6時には切り上げています。

 7割というのは、10割の到達点まで後3割のこっている。わたし

は、こういう状態こそ大切だと思います。常に未来に夢を持てるからな

のです。毎日毎日10割に到達しても、その先がないとしたら、脱力し

てしまいます。それもストレスなのです。

 また、がんを宣告されたり、されないまでも検診などで再検査だとい

われたりすると、それだけで不安感にさいなまれてしまいます。

 これがまた、精神的なストレスとなってしまい、交感神経が緊張状態

になってしまいます。リンパ球が増えず、免疫抑制の状態になるー悪循

環を起こしてしまうのですね。

 
 がんの治療法として常識のように受け入れられている三大療法ー手

術・抗がん剤投与・放射線照射は、すべて、免疫を抑制するものですか

ら、前述したようにはっきりいって誤った治療方法なのです。

 
 積極的に副交感神経を刺激する方法としては、針などの自律神経免疫

療方がありますが、自分自身でできるものとしては、玄米や食物繊維の

多く含まれる食品、小エビや小魚などを中心とした食生活を実践する方

法があります。
 
 副交感神経は、ものを食べることで腸管を刺激し活性化されるからで

す。

 
 わたしが玄米や小エビ、小魚をすすめるのには理由があります。

それは、そうした食品はそれだけで「一つの生命体」として完結してい

るから。つまり、完全な栄養素をほとんど含んでいるのです。体に悪い

はずがありません。その点では、発酵食品もおすすめですね。
 

 また、血行を促すことも、副交感神経の刺激につながります。ですか

ら、毎日適度な運動を心がけてください。軽い体操、散歩などがいいで

すね。入浴も効果的です。・・・


  別冊宝島 「安保徹の免疫学入門」  宝島社 発行  680円
                  P4−12 より      




(2)がんの引き金は、発がん物質ではなく、あなた自身にある



 @がんの原因は、外から体内に入ってくる「発がん物質」ではなく、

実はその人の生き方そのものにあるのです。

 肉体的あるいは精神的な強いストレスにさらされ続けることーそれこ

そが、がんの本当の原因となります。

 忙しく暮らす人々、あるいはさまざまな悩みを抱えている人々すべて

に、がんの魔の手は忍び寄っているのです。
 

   
 A薬を飲み続けると、交感神経が緊張状態になる

 
 また、ストレスの原因は、現代人の薬好きにも言及することができま

す。

 何かというとすぐに薬に頼ってしまう人が、いかに多いことでしょ

う。     
 
 ほとんどの薬は、対症療法的に用いられるものですが、悪いところに

だけ効果を及ぼすならよいのですが、当然大なり小なり免疫のメカニズ

ムに影響を与えてしまうものです。
 
 それによって、さらに交感神経が緊張状態に陥ってしまうのです。こ

れも、がんの原因と密接に結びついているといってよいでしょう。


              同上     P26−27




(3)ストレスをためると、潰瘍はみるみる大きくなる



 @強いストレスによって交感神経の緊張状態が続き、がんに至るー。


 そのほかにも、ストレスがさまざまな悪さをすることがわかっていま

す。

 それらを見ていくと、交感神経の緊張状態で増大する顆粒球こそが、

体を悪くしているのだということが、はっきりと浮かび上がってきま

す。


 *「顆粒球」:白血球の一つの種類で、比較的サイズの大きい細菌

を、自らの内に取り込んで処理してくれる、・・・顆粒球と細菌などの

異物との戦いは、「化膿性の炎症」を起こして治癒するという形をと

る、そうです。            同上  P20−21



 A顆粒球が増え続けて、粘膜が壊される


 これは、動物実験でも確かめられています。ストレスを与えたネズミ

の顆粒球の変化を見ると、細菌感染を起こしていないのに顆粒球が増

え、その顆粒球が粘膜にとりついて破壊していくのです。

 これを人間に当てはめれば、ストレスによる顆粒球の増大が粘膜を破

壊し、潰瘍がどんどん進んでいくことになるのです。それが、発がんを

促すことにもつながります。


            同上       P30−31




(4)がん検診を受けると、本当のがんを引き起こすこともある



 @「要精密検査」の結果が強烈なショックとなり、ストレスが増大す




・・・がん検診というのは、ほんのわずかでも疑いがあれば、みんな

「クロ」だと判定するものです。必要以上に多くの人が、引っかかるよ

うにできているシステムです。

 本当にがんにかかっている人の10〜20倍、あるいはそれ以上の割

合で、「要精密検査」の烙印が押されるようになっています。
 
 そして精密検査によって実際にがんだったという人は、20〜40人

に一人ということになるわけです。



 Aがん検診は、健康な人に強いストレスを与える

 
 がんの集団検診を受け、「要精密検査」という結果を手にしたら、そ

れだけで大きな不安を感じてしまい、目の前が真っ暗になってしまうも

のです。

 がんだとは決まっていないのに、ときとして「がん宣告」にも等しい

ショックを受けてしまうからでしょう。
 
 このようなことは、体にとても強力なストレスを与えてしまいます。

・・・このようなストレスだけで、交感神経の極度の緊張状態が起こ

り、本当にがんになりかねないほどです。

 本来はがんでも何でもない人に、とてつもないがんのリスクを負わせ

ているといっても過言ではありません。

 
 がん検診を長年行っている地域のほうが、むしろ発がん率が高いとい

うデータもあります。これは、なかなか発表される機会がないのです

が、事実なのです。
 
 がん検診を受けるか受けないかは、がんの疑いを指摘されても、平気

だと思える自信があるかどうかによるといえるでしょう。


            同上      P32−33




(5)リンパ球が多すぎても、がんになることがあるので要注意

 

 がんは、交感神経が極度の緊張状態に陥って、顆粒球が増加すること

で引き起こされます。しかし、これとは正反対のメカニズムでも、引き

起こされることがわかっています。

 がん発生の2〜3割は、これに該当するものです。


・・・日ごろから運動不足の人、あるいは肥満の人も、がんになる確率

が高くなります。

 運動不足や肥満の人の体を調べて見ると、体内のリンパ球の数が大変

多くなっています。がんの多くは顆粒球の増大が原因ですが、リンパ球

が異常に多い人もまた、確率が高まります。


 リンパ球が多すぎるということは、副交感神経が優位の状態にあり、

体がリラックスしすぎているということです。

 すると、血管が必要以上に開きすぎ、それによって血流が滞るという

血流障害が起こります。
 
 これが、がんの原因になるのです。このとき、体にむくみを伴うこと

が多くあります。
 
 今日、肥満の人が増えています。とりわけ、男性も女性も、40代、

50代、60代の人に多いので注意が必要でしょう。
 
 また、こうした年代の人は、運動不足気味ですから、要注意です。


             同上      P34




(6)手術が引き金になって、がんは全身に広がっていく
 


 がんの治療の代表的なものとして、誰もがいまだに第一に思い浮かべ

るのが手術です。ところが、手術そのものが、免疫を強く抑制するとい

う作用があります。


 このため、免疫学の観点から見ると、手術という手段は、根本的に治

療とは矛盾した手段であることがわかります。



 @手術でメスを入れると、交感神経の緊張状態がより強まってしまう


 がんの治療法の第一にあげられている手術は、がん細胞を取り除くと

いう治療法です。

 一見すると、最も確実な方法のようにも思えますが、ある意味では最

も危険な治療法でもあるといえるのです。
 
 これは、手術そのものが、免疫を強く抑制してしまうからです。


 がんが免疫抑制の極限の状態で発生することはすでに述べています

が、そのような状態にあるところへ、手術によってさらに免疫抑制が加

速されるわけですから、大きな手術を行った時に、それをきっかけとし

てがんが全身に広がってしまうということが、実に頻繁にあるのです。

・・・もともとがんは顆粒球が増えたために引き起こされたのに、手術

によってさらに顆粒球を増やしてよいわけがありません。


 ですから、手術はまず避けたほうが良いということになります。

 特に、交感神経をより緊張させる大きな手術ほど行わない方がよいの

です。
 
 また、転移を防ぐ意味でリンパ節を取り除く、リンパ節廓清もよくあ

りません。リンパ節は、がんを抑えるリンパ球が出てくるところです。

それを取り去ることで、免疫抑制がより強くなってしまいます。



 A早期発見でがんが小さいうちは、手術も効果がある


 ただし、手術を行ってもよい場合もあります。

 それは、早期がんであること、がんが原発巣だけにとどまっている場

合に限ります。
 
 このような状態の時には、がんを簡単に取り除くことができるため、

負担も少なくなるからです。


 がんの組織は、交感神経を刺激するという性質がありますから、それ

をできるだけ早く抑えるという意味でも効果があります。
 
 そういう意味では、がんはできるだけ早期に発見するにこしたことは

なく、早期受診もまたそれに役立つことになります。
 
 体に異常を感じた時に迷わずに検査を受けることは、大切なことで

す。その後の治療方法さえ間違わなければ、すぐに治すことができま

す。


             同上       P36−37
 


      
(7)確実に効果のある抗がん剤は、ごくわずかしかない



  がんの治療では、抗がん剤の使用が大変広く行われています。

 ところが、抗がん剤の服用によって、さまざまな副作用が現れます。
 
 こうしたことは、患者に非常な負担を与えます。
 
 それどころか、抗がん剤による治療のメカニズムそのものに、根本的

な矛盾さえ表面化しているのです。



 @抗がん剤の効果があるのは、ほとんどがなじみの少ないがん


 多くのがん患者さんは、わらにもすがる思いでつらい副作用に耐えな

がら、抗がん剤の治療を受けていることでしょう。

 しかし、「すべての抗がん剤が、がんを完全に治す薬ではない」−こ

のことを、しっかり肝に銘じる必要があります。


 現在、抗がん剤で完治が望めるがんとしては、急性白血病・悪性リン

パ腫・睾丸腫瘍などだとされています。

 進行を遅らせることのできるのは、乳がん・卵巣がん・骨髄腫・小細

胞肺がん・慢性骨髄性白血病などがあげられています。


 これらのうち、乳がんを除いては、あまり聞いたことのないがんであ

ることがわかります。

 抗がん剤を使ったがんの患者さんの何パーセントかに、症状が軽減さ

れるなどの効果のあるがんとしては、胃がん・肺がん・子宮がん・大腸

がん・前立腺がん・甲状腺がん・胆道がんなどがあげられます。


 これらを見れば、抗がん剤が決して万能ではないことがわかります。

 いや、それよりも、「抗がん剤の効果とは、これだけなのか!」と、

驚くのではないでしょうか。



 A抗がん剤は、がん細胞だけではなく、正常な細胞も傷つけてしまう


 抗がん剤の効果があまりにも低いことに驚かされますが、

さらに、やっかいな問題も抱えています。

 それが、「薬物有害反応」−つまり、副作用です。

 抗がん剤は、がん細胞だけではなく、正常な細胞も傷つけてしまいま

す。

 
 抗がん剤による副作用には、次のようなものがあります。


 白血球の減少・発熱・血小板の減少とそれによる出血・血色素の減少

による貧血・吐き気や嘔吐・しびれ・激しいせき。
 
 また、皮膚がぼろぼろになる、唾液が出なくなる、髪が抜けてしま

う、下痢なども、典型的な抗がん剤の副作用です。

 抗がん剤は、がん細胞だけを狙い撃ちし、正常な細胞には影響を与え

ないというのが理想的ですが、そのような薬は、現在は皆無です。
 
 現在もなお、がんだけに効果のある抗がん剤の研究が進められている

のは確かです。
 
 しかし、現状は、抗がん剤を使う場合には、副作用を軽減する薬を併

用したり、副作用の異なる複数の抗がん剤を使い、その分散をはかるな

どの療法が行われています。
 
 また、こうした副作用に耐えられる体力のある患者さんに利用が限ら

れるなど、抗がん剤には、問題点がたくさんあるということをわかって

いただきたいのです。


            同上     P38−39   




(8)抗がん剤は、一部のがん細胞をやっつけるが、戦う力も奪う



 抗がん剤を使用すると、ほとんどの場合、つらい副作用を伴います。


 これは、免疫を大きく抑制してしまうからです。

 病気を治すために飲む薬なのに、かえってつらい思いをするばかり

か、体力をみるみる消耗させてしまいます。



 @抗がん剤は、がんだけを狙い撃ちにすることはできない


 抗がん剤は、もともとは白血病の治療に使われたものです。白血病に

よく効いたものですから、すべてのがんに効くかのように思われまし

た。

 しかし、すでに見たように、抗がん剤の効果が発揮されるのは、ほん

のわずかのがんでしかありません。効果があっても、完治に至るという

例はごくわずかなのが現実なのです。

 抗がん剤による治療を受けているがんの患者さんは、一様にやつれて

います。

 抗がん剤の投与が、患者さんの体に大きな負担となり、免疫系が極度

に抑制されている証拠です。

 
 *以下省略:興味のある方は、ぜひ書店で購入してみてください。



 A抗がん剤は、体の持っている治癒力もうばう


 抗がん剤は、がんだけを狙い撃ちするのではなく、体全体の新陳代謝

そのものを抑制するための薬です。

 確かにがんの活動を抑えることはできる。しかし、新陳代謝も抑え込

まれるために、体力も失われてしまいます。

 その結果として、体がやつれてしまいます。
 
 体が本来持っている治癒力もまた、失われていくのです。
 
 もちろん、抗がん剤治療がすべてよくない、というのではありませ

ん。

 抗がん剤の中には、がんの病巣に直接薬を注入して、がん組織の分裂

を止めるものもあります。しかし、それで治ったからといって安心もで

きません。
 
 がんを発生させる生き方そのものを変えなくては、何の解決にもなら

ないのです。


             同上      P40−41




(9)放射線照射も免疫抑制を招き、種々の副作用を起こす



  がん細胞を、鋭敏なビームで狙い撃ちするー。そんなイメージの放

射線療法は、機器も大がかりで最新のテクノロジーを駆使した、とても

効果的な治療法のように思えます。
 
 確かに機器の進歩により、照射部分に潰瘍が起こったり、ケロイドが

できるなどの目に見える副作用はなくなりました。
 
 しかし、放射線の照射によって体がだるくなったり、疲れたりするな

どの症状が現れるのも事実です。



 @がんのある部位を精確に狙い撃ちできる、最新の放射線照射技術


 放射線の照射による治療は、手術と同じく、がんとその周辺の限られ

た場所を狙い撃ちする方法です。

 しかし、手術とは異なり、がんの発生した部位あるいは臓器を摘出し

ませんから、治った時には元通りの生活ができるようになるという特徴

があります。

・・・放射線ががんに向けて照射されると、がん細胞に直接作用し、細

胞分裂を止めたり、細胞を殺したりします。

 最近は技術が大変に進歩し、がん細胞のある部位に精確に放射線を照

射できるーまさに狙い撃ちできるようになっています。



 Aがん組織への狙い撃ちでも、体全体が免疫抑制になる


 そうした技術革新により、高度な放射線照射が可能になったにもかか

わらず、放射線療法を受けると、全身が免疫抑制状態に陥ります。

 「とても疲れる」というのが、その典型的な症状です。体の活力がな

くなってしまいます。

 
 がんからの回復に効果的なリンパ球は骨髄で作られますが、そこへは

放射線が照射されなくても、こうした症状が起こってしまいます。
 
 これについては、これまでは原因不明だとされていましたが、免疫学

の観点から見ると、簡単に答えを出すことができます。
 
 いくら精確な照射ができるようになったとはいっても、がん組織との

境目にある正常な細胞も幾分かは壊されてしまいます。
 
 これにより細胞の内容物が出てきますが、それが交感神経の緊張状態

をつくるのです。したがって、顆粒球が増大してしまいます。

 また、もし放射線照射によって骨髄細胞や免疫組織そのものが傷つけ

られれば、リンパ球がつくられなくなってしまうということにもなるの

です。


・・・放射線そのものが、発がんを促す性格のものであることを充分に

理解し、安易に放射線療法に向かうことは避けることも大切でしょう。


            同上       P42−43




(10)免疫力を高めれば、がんはみるみる小さくなっていく



 がんの発生メカニズムと三大療法(手術・抗がん剤・放射線照射)の

問題点について明らかになってきたところで、次に、「安保免疫学」を

実践するとなぜがんが治るのかについて説明していきましょう。

 そのポイントは、熱が出たり痛みが生じたのちに、がんが自然に退縮

していくということにあります。



 @安保免疫学の原点は、免疫力を高めて病気を治すこと


 ここでもう一度、がんが発生するプロセスを、簡単におさらいしてお

きましょう。

 強いストレスにさらされる→交感神経の緊張状態が続く→リンパ球減

少で免疫抑制状態に→顆粒球過剰で細胞が破壊される→がんが発生する

 
 このプロセスが繰り返され、がんは増殖します。それを断ち切るため

には、ストレスをためないような生活をすることで、リンパ球をふやし

てやることが必要です。

 それが、「免疫力を高める」ことにつながります。
 
 ここに、「安保免疫学」の原点があります。



 A免疫力でがんを治す過程では、治癒反応が起こる


 リンパ球が増えてくると、がん組織の自然退縮が間違いなく始まりま

す。

 この過程で、多くのがん患者さんは、発熱による体のだるさ、節々の

痛みを訴えます。

 がんによっては、下痢・せき・血便・血尿などの症状が現れることも

あります。
 
 これらは、リンパ球ががんを攻撃するときの炎症反応であり、「治癒

反応」といわれるものです。
 
 これに対して、対症療法として解熱剤や鎮痛剤、消炎剤、ステロイド

剤を服用すると、症状はおさまりますが、本来の治癒過程にブレーキを

かけることになります。

 
 このことを充分に理解しておかないと、がんの退縮にはつながってい

きません。
 

 がんの「温熱療法」というものがあります。

これは、がん細胞が熱に弱いから効くのだという見方をされています

が、免疫学の視点から見ると、熱があるときにはリンパ球が活発に働け

る環境にあるという意味で、よい療法だといえます。


 風邪にかかると、リンパ球が風邪のウィルスと戦うために、高熱が出

ます。

 ちょうどそれと同じ反応が起こるため、効果的だといえるのです。
 
 これを見ても、抗がん剤で発熱させない治療方法が、免疫学の視点か

らは、矛盾した方向に向かっているといわざるを得ません。
 

 治癒反応は、実は、抗がん剤が広く使われるようになる以前、がんが

治る過程に必ず通る反応だとしてよく知られていました。

 この反応は、リンパ球による免疫が活性化して起こるものですから、

抗がん剤により免疫抑制が長く行われるようになったために、忘れ去ら

れてしまったというわけです。


           同上        P44−45




(11)免疫学では、転移も、がんが治る「うれしいサイン」



 がんに関しては、さまざまな誤解や思い込みがたくさんあります。

「こわい病気」「不治の病」「三大療法」「転移」・・・。

 免疫学の観点から見ると、これらは、いずれも根拠のないことである

とわかります。ここではまず、がんの「転移」は、実は治るサインであ

るという事実を紹介します。



 @がんの転移も、完全治癒の道であることを認識してほしい


 「がんの転移=がんの悪化」、これは誰もが描く等式でしょう。

 手術を受けたのに、また別のところで再発した。

 抗がん剤のつらい治療を続けているのに、転移を宣告される・・・。
 
 このようなケースでは、どんなに意志の強い人でも、目の前が真っ暗

になるような絶望感に陥ります。

 ところが、免疫学の観点からは、「転移=悪化」はまったく逆で、転

移もがんが治る「うれしいサイン」なのです。
 
 転移を起こすタイミングを見てみると、リンパ球の数が増え始める時

期に合致しています。

 リンパ球がふえれば、体の免疫力が高まり、がんが退縮し始めます。

つまり、治癒に向かっていくわけです。



 A転移しても、決して動揺しなければ、がんは治っていく


 転移→治癒のメカニズムを、もう少しわかりやすく説明すると、次の

ようになります。

 がんが発生した時、リンパ球が増えるような療法を続けると、がんの

原発巣ー最初に発生したがんを、リンパ球が攻撃します。

 このため、原発巣のがんは攻撃に耐えきれず、それでも生き延びよう

として別の場所に移る。それが転移というわけです。

 つまり、がんがダメージを受け、断末魔の悪あがきをしているといっ

てよいでしょう。
 
 このとき、転移したからと、抗がん剤を使ったり、放射線を照射した

りすればどうなるでしょうか。

 当然、免疫力が低下して、転移したがんが新しい場所で活動し始めて

しまいます。
 

 がんが転移したことがわかると、当然動揺します。しかし、そうした

ことで体が交感神経の緊張状態になると、せっかくがんが退縮し始めて

いるのに、逆効果になってしまいます。


            同上         P46




(12)笑いを絶やさなければ、がんは治るーがんを治す4か条



 本書の冒頭で、「がんを治す4か条」を紹介しました。ここでは、こ

れについて、もう一度説明していきます。



 @生活のパターンを見直すー7割人生のほうが、夢をいつも持ってい

られる


 私たちの周囲には、ストレスがあふれています。ひとたび職場に出れ

ば、否応なしにビジネスの渦に巻き込まれてしまいます。・・・

 ストレスのない生活は考えられませんが、すべて「7割」でよしとす

ることが大切です。

 パーフェクトー10割を目指せば、到達できずにきっとストレスにな


ります。
 

 7割できれば、切り上げましょう。残りの3割は、次の目標とする。

そうすれば、また新たな希望もわいてくるものです。



 Aがんへの恐怖から逃れる


 B免疫抑制の治療をやめるーがんは必ず治る

 がんは不治の病ではありません。恐怖など感じる必要は、まったくな

いのです。

 たとえがんの宣告を受けても、ここで紹介している、4か条の実践を

続ければ、リンパ球が増えて交感神経の緊張状態が改善され、がんは退

縮していきます。

 ですから、もし手術、抗がん剤、放射線照射などの、免疫を抑制する

治療を受けようとする場合、あるいは受けている場合には、すぐにやめ

るべきです。



 C副交感神経を刺激するー体にいい物を食べて、軽い運動を続ける

 副交感神経を刺激すると、リンパ球が増えて免疫力がアップします。

 具体的には、胃や小腸、大腸などの消化管を刺激すると、副交感神経

も活性化します。

 これは、消化に関わる働きはすべて、副交感神経がつかさどっている

からです。
 
 そのため、体によいもので消化管を適度に刺激するような食べ物を、

積極的に食べることが大切です。

 こうした食べ物には、玄米や野菜、きのこなどがあります。・・・
 
 また、一つの生命体として完結し、ほとんどの栄養素を含んでいる小

魚や小エビなども、副交感神経を刺激するための、おすすめの食品で

す。

 
 そして、何よりも「笑うこと」−。笑顔を絶やさないと、気分もリラ

ックスします。

 そうすると、副交感神経がぐんと活性化され、免疫力もますますアッ

プします。


           同上        P48−49




(13)免疫力アップを目指すなら、「ムリ」をせず、「ラク」をしな

いこと


 私たちの体のすべての細胞は、自律神経のコントロールのもとにあり

ます。免疫に深く関わる、白血球も同様です。

 体の起こすつらい症状、また不快な症状も、体の状態を正常に保つた

めの反応なのです。



 @免疫力アップには、強いストレスをできるだけなくすこと


 病気は、なぜ起こるのでしょうか。その答えは、すでに出ています。

「強いストレス」です。

 仕事上の無理、悩み、家庭内の問題・・・。肉体的・精神的なストレ

スの理由は、日常生活の中ではたくさんあります。

感染もストレスになります。

 こうしたストレスの刺激により、自律神経がアンバランスになる。

それが引き金となり、体内の細胞や、本来は体を守るはずの白血球が、

異常な行動を起こすようになります。


 これが、病気です。体に負担がかかり、障害が起こります。

ストレスがつのると、交感神経を極度に刺激し、体の中で組織破壊が起

こるのです。

 これらを防ぐためには、「免疫力のアップ」が必要であり、それには

ストレスをなくすことしかありません。ストレスフリーこそ、病気に立

ち向かう最大の武器であるといえるのです。



 Aメリハリのある心のあり方や生き方が、バランスのよい状態を生む


 ストレスから解放されることが大切といっても、だらーっとしてしま

っては、逆効果になります。

 リラックスのしすぎは、別の意味で体にとってはストレスとなってく

るものなのです。

 そのよい例が肥満です。肥満は、副交感神経が優位の状態ですが、度

が過ぎると、息切れや疲労が生じ、とたんに交感神経優位のストレス状

態になってしまうからです。

 また、アレルギー疾患も「ラク」のしすぎによるものです。

 要は、バランスを保った、「心のありかた」「生き方」が大切です。

 メリハリのある生き方、無理をせず、かといってだらけないことが求

められます。

 そういう意味では、適度な運動を常に続けることは、血液の循環を促

すことや筋肉をバランスよく鍛えることにもつながり、効果があるもの

です。



 B食と呼吸の生活改善で、免疫力はアップする


 免疫力アップのもう一つのポイントは、「食」と「呼吸」です。

 ものを食べることで、副交感神経が刺激され、交感神経優位の状態が

解消されます。

 もちろん食事の内容も重要です。

 玄米を中心として食物繊維を多くとるとともに、小魚や小エビを積極

的にとるようにします。

 また呼吸は、自律神経のコントロールのもとに行われますが、それと

ともに、自分の意思でコントロールすることもできるものです。興奮す

ると呼吸も速くなり、交感神経が優位になります。

 しかし、そこで大きく深呼吸すると、気持ちがゆったりし、とたんに

副交感神経優位の状態にもってくることができるのです。


           同上      P66−67



 別冊宝島 図解「安保徹の免疫学入門」宝島社(定価680円)より



 *がんだけでなく、アレルギー・シックハウス症候群・アトピー・ス

テロイドの副作用・腰痛や膝痛の治療に消炎鎮痛剤を使うことの危険

性・膠原病・リウマチ・潰瘍性大腸炎やクローン病・高血圧などについ

ても書かれていますので、これらの病気でお悩みの方も、ぜひ、お読み

になってみてください。
          
     

































































































































































続けて、「安保徹の免疫力を高める食べ方」を読みました!    No.13 - 2010/02/22

 何年も前のことですが、雑種の柴犬を飼っていました。

初めて家に来た時は、大人の親指くらいご飯を食べると、もうお腹が一

杯らしく、玄関の下駄箱の下に隠れて、クンクン泣いていました。

 2年位して散歩に行ったとき、20分ほど歩くと動かなくなってしま

ったのです。とても散歩好きの犬なので、おかしいなとおもって見る

と、腹の柔らかい部分がパックリ裂けていました。

飼主と同様、ボンヤリした犬なので、散歩の途中で出会ったよその犬に

噛まれたようです。

 家につれて帰って、いやがる犬に消毒液を塗りました。・・・貧乏な

ため、病院には行きませんでした。

 犬は小屋の奥の方で、時々傷口を舐めながら、じっとしていました。

大好きな牛乳や、ハム、チーズなどをあげても、ほとんど食べません。

 その時は、散歩に行けない(おしっこやうんちができない)から、手

をつけないのだろう、くらいに思っていました。


ところが、実は深い思慮にもとづくものだったということを、後に知

りました。


・・・油断していると、肩口によその犬のうんちをなすりつけて喜んで

いるような犬でしたので、自分の知恵というよりは、本能に従っただけ

だとは思いますが。

 そうした方法で、なんと、自分で治してしまったのです!



 前置きが大変長くなり恐縮ですが、安保先生の本の、

3章「病気にならない安保流・生活術」の、1節「勘を磨いて病気をは

ねのけよう」の中にも、同様のことが書かれていますので、ご紹介させ

て下さい。



◎「病気のときは栄養を断って体を休ませる」


 高血圧や高血糖といった慢性疾患では、初めから薬に手を出さないの

が一番です。

 すでに薬を飲み始めている場合は、徐々に薬を減らしながら体を調整

していくのがよいでしょう。   (中略)

 にもかかわらず、現代人はあいかわらず薬漬けの人が大勢います。人

間は、すっかり動物的な感性を失ってしまったのでしょうか。


 野生動物は病気になったとき、食を断って治します。本来、人間も食

を断って病気を治していたのです。

 その証拠に大病をすると食欲がなくなります。体が解糖系からミトコ

ンドリア系にシフトさせているからです。

 それを私たちは勘違いして、「食べないと抵抗力を失うから」と点滴

をしたり、滋養のあるものを食べて、無理やり栄養を体内に入れようと

します。

 体力を回復させるために栄養は必要なので、ある意味では一理ありま

す。

しかし病気のかかり始めのときは、体のさまざまな機能を休ませるた

め、食べ物を体内に入れないようにし、回復してきたら徐々に食べるほ

うがいいのです。


 実は私たちの体はそれを食欲減退として教えてくれているのですが、

私たちの意識がそれを感じ取ることができていません。

 野生動物は、体調が悪くなるとうずくまったり、どこか見えないとこ

ろに行って休息をとります。お腹が空いても、足の速い草食動物を捕ま

えられないのであきらめます。そのため、心筋梗塞を起こすなんてこと

もありません。

 つまり、動物としての本能に忠実に反応しているのです。

 私たち人間も動物としての勘は備わっているのですから、もっと勘を

磨いて体の声を聞くことが大切なのです。



 「安保徹の免疫力を高める食べ方」  安保 徹 先生 著

  (株)中経出版 中経の文庫 533円+税  P66−68
  


 もう一点お話しさせて下さい。


5年位前、私の亡き父が地元の病院の紹介により、某国立の病院に入院

したのです。

 入院する時は、「悪いところがあったら、検査して全部見つけてもら

うんだ」と、穏やかな表情で話していたことを、今でも、鮮明に覚えて

います。


 ところが、一連の厳しい検査が始まると、見る間にげっそりと痩せて

ゆきました。


 *私はそのような検査を、とくに、高齢者がすることには、もともと

反対でした。


・・・結果として、すい臓の裏のほうに、地元の病院では見つけられな

いような癌が見つかったとのことですが、「一応の生活」ができていた

人間の、治療もできない(困難な)癌を見つけることに、格別の意味が

あるとは、どうしても思えません!


 その人の性格(が決めること)ですから仕方がありませんが、のらり

くらりと生活していた方が、はるかに質の高い老後が送れたのではない

かと、今でもとても残念です。


 大学病院で癌の外科手術を受けた後、他の病院へ転院させられまし

た。

 その病院では、(ご丁寧に)個室に入れられ、鼻にチューブを通され

て苦しそうでした。


 *転院をさせたのは、「死亡」としてカウントしたくないためでしょ

うか?

 また、転院も、死亡者を紹介すると葬儀社が病院に謝礼を支払う慣行

を連想させて、なんとなく不快でした。


 私の父は、なにしろ旧陸軍の志願兵で、田舎の伯父が3軒先まで声が

聞こえる(田舎は家の間隔が離れていますから)と苦笑したほど壮健で

したから、転院した病院でも(なかなか死ねず)見ていてかわいそうで

した。




 前置きがとても長くなり、不愉快な思いをされた方もおられるでしょ

うが、安保先生の、先の本の続きをご紹介させていただき、終わりま

す。



◎「死期を迎えたときの判断」


 食を断つのは、病気のとき以外にも、もうひとつあります。

 それは死ぬ間際です。

 動物はみんな食を断ってこの世を去っていきます。

 空海や昔の偉人たちもそうしています。

 そのほうがいつまでも考え方が清明で、この世に感謝しながら去れる

のでしょう。

 死期を悟ったら病院へ行って点滴を受けるのではなく、食べ物を口に

しないことです。

 ところが、このときに体内に栄養を入れると、栄養処理にエネルギー

が使われ、七転八倒の苦しみを味わいながらこの世を去ることになりま

す。

 ただ、これは他人に要求することではありません。私たちひとりひと

りが自分で決心するものです。

 私自身も、自分がその瞬間を迎えたら、どういう判断をするのかわか

りません。今から自分でも楽しみです。


          
         前掲書      P68−70




◎この本では、「おいしくて免疫力が高まるおすすめレシピ」として1

5例、また、「これが安保流・1週間の食事レシピ」として64例もの

レシピも紹介されています。
 
 ぜひご一読を、おすすめいたします。     






    








































「病気にならない免疫生活のすすめ」を読みました! No.12 - 2010/02/06

 著者の「安保先生」は、新潟大学大学院の教授だそうですが、

時々NHKのラジオにも登場する、東北なまりの、とても温かそうな人柄

の方です。

・・・私も大ファンで、先生の声がラジオから聞こえると、耳をそばだ

てて聞いています。


 私の母が2年位前から、血圧の薬を飲み始めました。まじめな性格な

ものですから、一生懸命飲むのです。母の姉が何年か前に、福島の温泉

で倒れたことも、「一生懸命さ」の理由かもしれません。


 ところが、傍で見ていると、なんとなく(薬を飲み始めてからは、と

くに)体の調子が悪そうなのです・・・。


 5年位前に父が、大学の付属の病院で治療を受けて亡くなったことも

あり、私は「薬や、がん治療」などに不信感を持っているものですか

ら、そんなに真面目に飲まない方が良いのになあ、という眼でみていま

した。



 前置きが長くなってしまいましたが、そんな時にこの本を偶然見つけ

たのです(本屋のレジ前に平積みにされていました)。



◎ 第5章「薬をやめれば健康になれる!?」、第1節「薬は悪循環を

招いてしまう」の中から、一部ご紹介させていただきます。



「薬で病気が治るのだったら、こんなに楽なことはありません。今頃、

病気はすべてなくなっているはずですから。

 ところが患者の数は減るどころか、どんどん増えています。

 現代における病気は、すべて食生活の問題、社会や職場におけるスト

レスの問題、環境の問題など、現代社会が生み出した独特のひずみから

出てきたものです。

 社会全体が生み出した破綻を、薬一つで治せればいいでしょう。

 しかし、実際は薬は問題を解決してはくれません。

 薬の罠は、「麻痺ぐらいはさせられる」という点にあります。

 急性疾患の場合は、ある程度症状が軽くなったりするので、薬を使う

ことも効果的です。

 しかし、薬は一時的に症状を麻痺させるだけなので、長期間にわたっ

て飲み続けても根本的な原因を治すことはできません。


 特にお年寄りが飲んでいい薬は一つもありません。

 お年寄りが高血圧の薬や、抗不安剤、睡眠薬に手を出すと、体力に余

力がない分、一気に体を痛めつけてしまいます。
 
 40代、50代だったら、まだ跳ね返せる力があるのですが、

70代以上となると、たった一種類の薬でもダメージが大きくなりま

す。

 薬を飲み出したら一気に活力を失い、いつも体調不良に悩まされると

いう流れに入ってしまうことでしょう。


 私がある老人介護施設に行ったときに見たのは、薬が生む悪循環の流

れでした。
 
 要介護者が、腰が痛いと訴えると、痛み止めを出されます。すると、

血流が悪くなり、高血圧を呼びます。
 
 高血圧を抑えようと降圧剤を飲むと、夜眠れなくなります。

眠れないと不安なので、睡眠薬や抗不安剤などが出ます。
 
 このようにして芋づる式に、薬が山ほど出るのです。
 
 70代以上の人がそれだけの薬を飲むと、薬に太刀打ちできる期間

は、長くて5年くらい。

 だから介護施設に入ると、寝たきりになってしまうわけです。

 勘の良い人だと、「薬を飲んだらフラフラする」とか、「薬を飲んだ

らかえって変になった」と、体の異変に気づくはずです。
 
 気づいたら、薬から離れればいいのです。


 お年寄りが病院で診察を受けるのは、自分の存在意義を確かめること

のできる良い機会です。

 だから、どんどん先生に診てもらえばいいでしょう。

 しかし、薬は最小限にして、もらっても飲まないくらいの決意が必要

です。」

                  
                   P156−159




◎ とても読みやすい本ですので、ぜひご一読を、お勧めいたします。


 「病気にならない免疫生活のすすめ」

   新潟大学大学院教授  安保 徹 先生 著

     (株)中経出版 発行  中経の文庫  495円+税





































がばいばあちゃん めざせ甲子園  No.9 - 2009/03/29
 たまたま図書館で見つけて、「がばいばあちゃん めざせ甲子園」 

島田洋七著 集英社発行、を読みました。


 前に、「がばいばあちゃんシリーズ」は、3冊くらい読んだことがあ

ったのですが、今回の本が一番感動的でした。


 「B&B」で漫才をしていた頃の島田さんを、私はあまり好意的な目で

は見ていませんでした。・・・やたら「紅葉まんじゅう」を連呼する、

声がデカいだけで、大して「芸のない漫才師」だと思っていたのです

(何分間も真剣に聴いたこともないので、まったくの偏見だったのかも

知れませんが・・・)。


 それがこの本を読んで、自分の大きな思い違いだったことがよく分

かりました。


・・・「たけし」さんの本には、「一人の芸人の売れた陰では、何千

人もの芸人が泣いているんだ」といった趣旨のことが書かれています。

 
 でも、洋七さんの場合、単なる幸運や偶然だけで、「売れた」のでは

ないに違いないと、この本を読んで感じました。


 中学から野球の名門校に進学して、甲子園(やがてはプロ野球)を目

指して、全身全霊で野球に打ち込んだこと。

 練習中の怪我で、その夢を断念せざるをえなくなったこと。

 その後の、八百屋勤めや、東京行きの経緯などが、平易な気負いのな

い文章で淡々と語られていますが、へたな小説などよりはるかに感動的

です。

 
 洋七さん自身が、「あとがき」のなかで、次のように述べています。


 若い頃、俺は自分の貧乏が恥ずかしくて、そのことを誰にも言わなか

った。

 35歳くらいになって初めて他人にそれを打ち明けた。

 それまでそれが言えなかったのは、やっぱり見栄を張っていたから

だ。・・・「世間に見栄を張るな」と、ばあちゃんはいつも言ってい

て、俺もそれをいつも聞いていたが、その年になるまでその言葉の本当

の意味が分からなかったのだ。

 それが35歳を過ぎて、人生を本気で生きていかなくてはいけないと

思うようになって、ようやくばあちゃんの言葉が本当にわかってきた。



・・・だんなさんを亡くしながら、七人の子を(しかも末の子は知的障

害者だそうです)育て上げ、さらに、がんと原爆で夫を亡くした二人の

娘の子まで自宅に引き取り面倒を見たうえ、


・・・ ばあちゃんは65歳になる前、「ばあちゃん、ぼちぼち仕事を

休まれたらどうですか」と、定年退職を市から勧められたが、ばあちゃ

んは仕事をやめなかった。


「わたしはお金がもらえなくても、仕事には毎日行きます、体のため

に。クビにするなら、どうぞクビにしてください」と言って、ばあちゃ

んは働き続けた。



 そんな誠実で骨太な生き方をした「がばいばあちゃん」の、最終章の

記述を読んで、涙が出てきました。



 以下は、最終章(「夢・第二幕」)の締めくくりの文章です。


「・・・ばあちゃんの死は、ほぼ自然死だった。

お医者さんからは病院に行く必要はない、入院する必要はないと言わ

れ、最後まで自宅で暮らし、想い出のいっぱい詰まった家でそのまま亡

くなった。

 色とりどりのリボンや折り紙がばあちゃんの部屋の天井に飾られ、ば

あちゃんは「まあ、きれい」と布団の中からそれを見上げていた。

 俺が生きているばあちゃんに最後に会ったのは、ばあちゃんが亡くな

る二ヶ月ほど前だった。

 ばあちゃんは子供に返ったような表情で俺に言った。

「うわぁ、花がいっぱい咲いてる、お花畑みたいや。しあわせばい」

                     P229−230    
            


     「がばいばあちゃん めざせ甲子園」

         島田 洋七 著   (株)集英社 

                 2007年4月発行  より




























































がんばれ!がんばれ!ハヤブサ No.5 - 2009/02/10

 「はやぶさ」は、どうなってしまったのだろう・・と、ずっと心配し

ていました。


 2005年11月に、小惑星「イトカワ」に無事に着陸(?)して、

サンプル採取などの使命を果たしたものの、翌月の原因不明の燃料漏れ

により、一時運用不能となり、イオンエンジンを停止させ「冬眠モー

ド」として、慣性飛行を続けているらしい・・・というところまでは、

知っていました。


 その後、新聞やテレビなどでもほとんど報道されないので、太陽の周

りを廻る宇宙の「ごみ」になってしまったのだろうか、いや、いまでも

機体は無事で、辛抱強く飛び続けているに違いない、なんとしても、地

球へ帰還してほしいものだ・・・などと、心のすみでいつも考えていま

した。


  **パソコンが苦手(嫌い)で、「検索」することを、つい最近まで

知りませんでした。以下の記述は、検索で知りました。

 「イオンジェットエンジン」とは、キセノンという気体をイオン化

(?)して、電気的に加速し、推進力を得るエンジンだそうです。メカ

オンチの技術好きには、とても魅力的な響きを発する言葉です。


 このエンジンの開発は、当初欧米の技術者などからも不可能視されて

いたそうで、多大の苦労と困難があったと、前に雑誌で読んだ記憶があ

ります。


 開発に携わられたかたには、深く敬意を表したい気持ちです。


 また、電波でさえ往復するのに何十分もかかり、しかもその正確な形

さえはっきりとは分からない、約500メートルという、宇宙ではちり

のような極小の惑星「イトカワ」に接近して着陸するために、「自律型

の飛行・探査技術」が設計・開発されたとのことですが、そうしたシス

テムも見事に成功したわけです。


 技術の開発に苦労された方々にも、ご苦労さまと言いたい気持ちです

(私などが言っても仕様がありませんが)。


 2月4日にイオンエンジンに再点火して動力飛行を開始したと、新聞

でも報道されました。

 今後、来年6月の地球への帰還をめざして、エンジンによる加速と軌

道変換を行ってゆくそうです。


 直径わずか40cmのお椀型の回収カプセルが、秒速12qを超える

という速度で、あのスペースシャトルの何十倍もの摩擦熱を受けながら

地球の大気圏に再突入するとのことですが、なんとか無事に帰還してほ

しいものです・・・。


 ただの金属の塊かも知れませんが、漆黒の闇(?)の中を飛び続ける

そのけなげな姿に、「がんばれ!がんばれ!」と連呼したい気持ちで

す。














タクシー強盗のこと No.3 - 2009/01/30
 タクシー強盗が、頻発しました。

 今は、少し落ち着いているようですが・・。


 前に、「タクシー強盗をするなんて馬鹿だ。いったい、いくら持って

ると思ってるの?」と、私の母は言いました(もう亡くなった父は、長

年東京で個人タクシーをしていました)。


 全国平均で、10万円を超える所持金を持っている運転手(さん)

が、10%を超えるでしょうか?


 所持金の少なさに比べて、犯した罪の代償はとても重いです。


 強盗罪の法定刑は、5年以上の有期懲役(1月以上20年以下)、さ

らに、相手方を傷害すれば無期または6年以上の懲役、死亡させてしま

うと死刑または無期懲役、と非常に重い刑が規定されています。


 事件の報道をする時に、「刑の重さ」と、わずか数万円を奪おうとし

て、何十年も刑務所に入らなければならない、場合によっては死刑にも

なるという、圧倒的な「ばかばかしさ」等も、もっと伝えてほしいもの

です。

 知らないで強盗にはしる人もいると思いますので・・・。



 それと、防犯板(運転手の後ろに付いているもの)も不十分だと、私

などには思えます。

 運転手の後方と、さらに左脇を、樹脂の板で囲ってしまえば、まず強

盗をしようという気も、起こらないのではないでしょうか。

そして危険な客に遭遇したら、ドアをロックしたまま警察署などへ駆け

込んでしまえないものでしょうか。


 そのようなことをしたら、「接客業」の道に反するという批判もある

ことでしょうが、運転手の命のほうが大切です・・・。


 日本の治安は、これから悪くなるばかりで、残念ながら良くなること

は期待できないでしょう。

 それでここは「性悪説」に立って、無用な犯罪の芽はできるだけ摘ん

だほうがよいです。 

 
 私の父がタクシーを運転していたある時、若いサラリーマン風の男(

歳をとってくると、尻の青い若造・・などと表現したくなりますね)か

ら、「やい、白髪のジジイ」と言われ、いきなり背もたれを蹴られたこ

とがあるそうです。


 タクシーは「接客業」だといいますが、接客が苦手で、それでも他に

職が見つからず、やむをえず続けている人もいることでしょう。

 また、わがままや傲慢な客に、なんでも従うのが「接客」であるとす

る、一部の論調も疑問です。

勿論、最低限のマナーや接客態度は必要でしょうが・・・。


 その点で、先述のように、運転席の周囲を樹脂の板で囲ってしまえ

ば、防犯の点で、また(とくに夜間は)心理面でも、とても有効なよう

に私などには思えますが。

 *私の父も、深夜、東京の埋め立て地などへ外人客を乗せていった時

などは、恐怖感を感じたと話していました。


 上記の施策が実行されることはまずないでしょうが、それだけに、強

盗の被害に遭う運転手はなくならないと思います(数は多くはないでし

ょうが)。


 何年か前、高校生の男女が遊ぶ金ほしさに、いきなり運転手をナイフ

で殺害する事件がありました。

・・・その高校生たちは、まだ若く将来もあるということで、何年かの

施設づとめを終えた後、「出所」してくることでしょう。


 でも、生活を支えるために深夜の過酷な勤務に耐えていた運転手さん

のことを、決して忘れてはいけないと思います。























すずめという名前をつけた理由 No.1 - 2009/01/18
 はじめて記事を、投稿させていただきます。
    
 私は、鳥が大好きです。他の動物、馬や、「わんこ」や「にゃんこ」

も好きですが・・。


 何年か前、駐車場のフェンスに5〜6羽のすずめがとまっているのを

見て、思わず笑ってしまいました(おたくらはどこの相撲部屋?よく

それで飛べるねと・・・)。

 でも、太っているわけではなく、羽の下に空気を蓄えている、のだそ

うですね。

 要は、ダウンジャケットを着ているようなものなのでしょうか。


 すずめを見ると、思わず、近寄って世間話がしたくなります(どう、

今日はなにか良いことがあった、苦労していることがあったら聞かせ

て、などと。・・・すぐに、逃げてゆきますが)。


 まとまらない話ですが、そんなわけで、「すずめ」という名前をつけ

てみました。
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